論述試験ノート

コピペして来年の公務員試験に使ってください。執筆者は、本番前までに全暗記して臨みました。頑張って!

社会学

 専攻科目ではなかったので、ハードルが高い科目だと感じ、過去に出題したテーマを中心に準備していきました(ですので、短答の勉強は捨てました)。政治学と重複する部分も多く、政治学とセットで勉強すると良いと思います。

 

 

 

Ⅰ.過去問答案

平成31年】マ一トンのアノミー論について、五つに分類される個人的適応様式に言及して説明せよ。

 →【平成13年】参照。

 

【平成30年】マッキーヴァーによる社会集の類型を二つ挙げ、それぞれ説明せよ。なお、両者の関係についても言及すること。

 →【平成10年】参照。

 

【平成29年】ラザースフェルドによるマス・コミュニケーションの3つの機能について、それぞれ具体例を挙げて説明せよ。

 →【政治学】の《マスメディア》のトピックを参照。



平成28年】家族の機能について、マードックの説を中心に説明せよ。なお、パーソンズの説についても言及すること。

 →【平成18年】参照。

 

平成27年】スペンサーの社会進化論について説明せよ。 

 →【平成23年】参照。

 

平成26年】社会的自我に関するG.Hミード及びC.H.クーリーの理論について、それぞれ説明せよ。

 1.ミード

  社会的自我とは、社会化された自我を指す。ミードは、自我の形成を役割取得過程に求めた。役割取得とは、他者の態度の内面化のことであり、内面化に伴って客我(me)が形成される。客我とそれを反省的に吟味し、乗り越えようとする主我(I)とのダイナミクスな関係によって社会的自我が発展していく。

   具体的には、①プレイ段階②ゲーム段階③一般化された他者、の3つの段階を経て発生する。

 

 ①プレイ段階:ごっこ遊びによって親など有意味な他者の役割を理解する段階。

 ②ゲーム段階:野球など、ルールがあるゲームで集団全体の中に位置づけられた自分の役割を理解する段階。

 ③一般化された他者:役割取得の対象となる他者の範囲が広がり、複数の他者の役割を取得できるようになること。これを取得すると、個人は自分がどのような行為をすれば良いかを知ることができる。

 

 2.クーリー

  クーリーは、「鏡に映る自我」という概念を提唱した。これは、自我が、他者との相互関係を行う過程を表現したもので、

 ①他者が自分をどう思っているのかを想像する

 ②その自分像に対して他者が下す判断を予想する

 ③その判断に対して自分が反応する

 この流れを伴う。

 

   クーリーは、他者という鏡を通して自分を見ている(=自我)。この過程を経て、自我は社会性を得て、社会的自我を発達させていく。

【平成25年】バージェスの同心円地帯理輪について、同心円地帯理輪に対するホイトの主張や、ハリスとウルマンによる批判にも言及して説明せよ。

 1.バージェス

  都市の生態的なモデル構造として同心円地帯理論を提唱した。

  都市とは、都市地域を中心として、遷移地帯・労働者住宅地帯・住宅地帯・通勤者地帯が形成され、放射線状に拡大する傾向がある。また、それぞれの内部地域が接続する外部地帯に侵入する形で拡大していく。

 

 ①都市地域:非居住者地域、人が少ない、ビジネス街(百貨店・美術館・市役所・オフィスビルなど)

 ②遷移地帯:土地利用が不安定な地域。移民や低所得者流入、治安悪い、スラムがある

 ③労働者住宅地帯:中の下階層社会、ブルーカラーが住んでいる住宅街

 ④住宅地帯:専門職、事務職のホワイトカラーが住んでいる住宅街

 ⑤通勤者地帯:上流階級が住む住宅街

 

 2.ホイト

  同心円地帯理論の都市構造は理論型なので、これを交通網の概念を入れて修正したものが扇形理論。家賃を指標に、都市居住地域の分布状態を調査し、その結果は低中高家賃グループが都市部と要に鉄道路線に沿って、扇方に住宅地を形成している。

 

 3.ハリスとウルマン

  多角的理論を提唱。大都市においては、中心業務地区の他に、複数の核心が発達し、それらの核心の周りに、特有の機能を担う地域が形成される。同心円地帯理論と扇形理論を批判する。

平成24年】デュルケムの主張した社会的事実について述べた上で、デュルケムの自殺論について説明せよ。

 

  デュルケムは「社会的事実」を「もの」として扱い、これを社会学の限定された対象であるとした。これが、社会的事実をものとして扱うことの目的であった。

  自殺論については→【平成13年】を参照。

 

平成23年】コントによる社会静学及び社会動学について述べた上で、コントの三段階の法則を説明せよ。

 1.コント

 コントの社会学は、社会静学と社会動学によって区分される。社会静学は、秩序の理論とも言われ、社会の諸部分を研究する、社会有機体説ものいう。社会動学は、進歩の理論とも呼ばれ、時間の経過と共に社会の発展を研究する、三段階の法則が提唱。

 

 ・三段階の法則

  時間と共に、人間精神が発展して、それに対応して社会も発展する。

 

 人間精神は、はじめは超自然的な能動者を擬似的に背呈して諸現象を説明しようとする神学的段階にあり、この時社会は軍事的なもので秩序が保たれている。次に人間精神は、超自然的な存在に変えて、抽象的な思惟によって諸現象を説明しようとする形而上学的段階になり、社会は法律的なもので秩序が保たれる。最後は、人間精神は実証的段階隣、科学的知識を用いて現実を観察するようになり、社会は産業的時期になっていく。人間の精神は、説明を絶対的なものに求めるのではなく、相対的なに独立した普遍の法則に求める(実証主義

 

 2.スペンサー

  スペンサーは、コントと同様に社会静学と社会動学によって区分される。社会静学では、社会を、生物有機体とアナロジーによって比較検討し、共通する部分と異なる部分を区別し、分析することで独自の社会有機体説を提唱した。社会動学では、人間の歴史を対象とし、その成長発展の法則を発見し解明することを目的とする。

 スペンサーは、社会動学において、ダーウィンの進化論を社会に応用し、社会進化論を提唱した。社会が量的に増大すると共に、分化と集約が生じ、不明確で同質的な軍事的社会から、明確で異質的な産業型社会へ移行する。

 

 3.ジンメル

  ジンメルは、コントとスペンサーの社会学について「諸科学の全体を一つの壺の中に入れて、社会学という新しいレッテルをはりつけただけで何にもならない」と批判した。社会学が一つの学問として成立するためには、社会学固有の対象が必要であるとした。

 社会を、個人を超越したものと捉えて個人には還元しないものとする(社会実在論)も、個人のみが存在し、社会の存在を認めない(社会唯名論)も、共に問題があるとし。社会を個人の相互作用による副産物であると規定した。そして、人と人との相互作用は「心」を通じて行われることから、ジンメルは心的相互作用に注目して社会学を捉え直した。

 ジンメルは、心的相互作用の内容に関しては、すでに諸科学が解明しているとし、その形式を研究対象とした。そのため、形式的社会学と言われる。そして、企業や学校などの集団が違ってもの、上下関係・競争など共通の社会化の形式が見られると指摘した。

 

 ・論争理論

  ジンメル社会学において、論争理論の先駆的研究者である。

 

  彼は、社会化の一形式である闘争は、それ自体はすでに対立する者の緊張感を高めたり、対立する集団の内部的結合を高めたりするとした。

 

【平成22年】パーソンズAGIL図式について説明せよ。

  パーソンズは社会体系を分析したが、社会体系維持のために必要な4要素を提起した。A adaptation 適応G goal attainment 目標達成L integration 統合I latency 潜在性  いかなるシステムも、外部環境に適応しながら(A)その目標や目的に向かって(G)結束して(I)いく。また、それらのやり方(パターン)を維持するための潜在的な働き(L)が必要である。

 

 これを全体社会のシステムに当てはめてみると、状況に適応するために必要な資源を手にいれる手段である経済がA、目標を達成するために様々な意思決定をする政治がG、社会成員をまとめていくコミュニケーションがI、これらの背後にあって、そのやり方を維持していくための文化や教育がLということになる。

 

 これら4つの分野は全体社会のシステムの中でそれぞれの機能を担いながら、それ自体もまたシステムであるので下位体系(サブシステム)と呼ばれる。よって経済システムや政治システムの中にもさらにAGILそれぞれの機能があるのである。 

 

【平成21年】テンニースによる社会集団の類型について説明せよ。

 →【平成10年】参照。

 

【平成20年】ギデンズの構造化理論について説明せよ。

 1.ギデンズ

  社会学の一般論として、構造化理論を提唱した。そして、構造とは、「社会システムを再生産するための、個人が依拠するルールとリソースである」と定義した。つまり、行為者は、構造を参照し行為するが、同時に行為の実践によって構造が形成されていく。構造が行為の条件と同時に、行為の結果である。このような相互関係を「構造の二重性」という。

 構造理論は、パーソンズの構造-機能主義や、レヴィストロースの構造主義と、シュッツの現象学的社会学との対立を克服した。

 

再帰的プロジェクトとしての自己 ギデンズは、再帰的プロジェクトとしての自己論を展開。現代社会では、私たちは耐えず何者なのかを問われ、それに応えるために自分の生活史をふりかえり、再構成することが求められる。このような自己のあり方を、再帰的プロジェクトとしての自己という。 

 

2.パーソンズ 社会体系を「構造-機能分析」によって分析した。 構造-機能分析とは、社会を構成する諸要素について、不変静的のものを「定数」可変動的のものを「変数」と定める。定数を確定する作業を構造分析とし、定数と変数の関係を分析するのが機能分析である。構造とは、相互に承認された役割の体系で、この体系が制度化されることで社会秩序が安定する。

 

 3.レヴィストロース

 構造人間学の立場をとり、未開社会の親族組織や神話研究に構造論的分析を導入し構造人間学を創立した。 

 レヴィストロースの構造概念は、直接的には観察不可能な深層構造を、観察可能な表層構造からの理論的な推論によって概念的に構成しようとするものである。社会関係と社会構造を区別し、社会関係は観察可能な経験的実在であるが、社会構造は社会関係を素材として概念的に引き出された1つのモデルである。

 

 4.シュッツ

 フッサール現象学ウェーバーの理解社会学を批判的に摂取し、現象学的社会学を創造した。現象学的社会学とは、一人の人間が社会をどう経験するのかという、行為者の主観的現象に焦点をあてて、社会を理解するもの。

 はじめに客観的な現実があるのではなくて、私と他者との相互作用によって現実が出来上がる。

 

【平成19年】リースマンによる社会的性格の3つの類型についてそれぞれ説明し、リースマンの社会的性格論の意義についても言及せよ。

 1.社会的性格の3類型

 リースマンによる社会的性格の3つの類型とは、伝統指向型(tradition-directed type)と内部指向型(inner-directed type)と他人指向型(other-directed type)であり、『孤独な群集』において提起した。・伝統指向型:旧来の習慣・道徳を遵守する。

・内部指向型:自己の内部の良心に方向付けられている。

・他人指向型:他人の反応によって方向付けられる。

 

2.社会的性格論

 社会的性格の変遷と社会状況の変化は対応するものである。

 はじめ習慣を遵守していた人々は、急激な工業化による労働力の必要から都市へ移動するようになり、自己の良心に基づいた選択をするようになる。工業化の発展から資本主義社会が成熟すると、サービス業などの三次産業へ移り変わり、他人とうまくやることが求められる、つまり他人の反応によって方向付けられる他人志向型が主流となる。よって、伝統⇨内部⇨他人に移り変わる。同調過剰な他人志向型は信念を持つことなく人に流されやすいので、社会全体を高い水準に導くことはできない。内部志向型は心の内部に心理的ジャイロスコープを備え、他人志向型は心の中に心理的レーダーを備えている。

 

 3.スタンダード・パッケージ(standard package)

 他人指向型社会における消費の基本的パターンを構成する標準化された商品群。たとえば、戦後日本の高度成長期にもてはやされた「三種の神器」(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)や「3C」(自家用車、クーラー、カラーテレビ)は典型。スタンダード・パッケージは、「他人並み」になることを誰もが欲望し、一群の商品の購入に向かう高度成長期のモデルだが、消費社会の成熟に伴い、ボードリヤールが論じた差異化の論理がより強く働くようになる。

 

【平成18年】家族の形態と機能に関するマードックの説を説明し、家族論におけるその意義についても言及せよ。



 1.家族

 家族とは、夫婦関係を基礎として、そこから親子関係や兄弟姉妹の関係を派生させる形で成立してくる親族関係者の小集団である。家族は、感情融合を結合の紐帯にしていること、成員の生活保障と福祉の追究を第一義的目標としている。  

 森岡清美は、家族を、夫婦家族、直系家族、複合家族に分類したが、それを制度ととらえれば、夫婦家族制、直系家族制、複合家族制となる。 

 初めに、直系家族とは、直系敵な世代家族の形成プログラムであり、社会的地位、遺産、祭祀などが跡継ぎによって独占・優先的に継承され、家族の直系的な世代的再生産の基盤となるとともに、親の扶養と家族の社会的地位の世代を超えた保持を容易にし。跡継ぎを確保することとそれ以外の子供を輩出することが重要課題となる家族制度である。かつての日本の家制度において見られる。

  夫婦家族制とは、夫婦一代限りの家族の形成プログラムであり、結婚からスタートし、子どもを産み育てて、子どもたちは自立して親元を離れ、また夫婦だけになり、最後はどちらか片方が残り、残った方の死で終わる家族サイクルを理想型とする家族制度である。遺産は、遺言による指定がなければ子どもかんで均等に分配され、新奥関係は夫方・妻方にあまり偏らない広がりを持つ。夫婦間の均等な権利義務と子どもに対する親の責任が柱となって、子育て家族として民主的な近代家族理念を反映したものである。

 

 2.マードック

 『社会構造』において、250の未開社会(北米・南米・アフリカ・オセアニアなどの種族の人類学データ)を調査した結果、一組の夫婦とその未婚の子供から成り立つ核家族があらゆる家族形態を構成する基本構成(ユニット)として、時代と地域を超えた普遍的存在であると論じた。その際に、核家族の機能を、性・生殖・教育・経済的共同の4機能であるとし、人間にとってこのような本質的機能を果たす社会集団は家族以外には見出せないことを主張した。

 初めに、性とは、婚姻を済ませた1組の男女が性欲求の充足を与えることであり、社会の秩序維持にとって不可欠の事柄である。次に、性生殖とは、性の関係をコンスタントに保つ夫婦に子供が生まれることである。さらに、教育とは、家族で生まれ育った共住・共食、性別に基づく分業である。

 

 3.パーソンズ

 『家族』において、核家族の機能を、子供の基礎的社会化、成人のパーソナリティの安定化の2機能であるとした。子供の基礎的社会化とは、子供たちにその社会で必要とされる諸資質や行動様式を身に着けさせることで一人前の成員に仕上げていくことである。次に、成人のパーソナリティの安定化とは、一定の地位や役割の関係が安定することによって、情緒的な安定が成人にもたらされることである。 

 パーソンズは、核家族がこの2機能を果たしているからこそ、子供は社会へ出る準備が整い、大人は安定した生活を送ることができると論じた。

 

【平成17年】ワースのアーバニズム論について説明し、都市社会学に与えた影響についても言及せよ。

  アーバニズムとは、都市に典型的に見られる生活様式のことである。  ワースは、都市を「人口量が多く人口密度が高く、社会的に異質な人々が集まる集団」と定義。このような都市には都市に見合った生活様式が生み出される。①〜③という3側面にわたる数多くの特質を取り上げているが、おもな特質は次のとおりである。

①生物学的側面:人口の異質性、社会移動が大きく、低い出生率

②社会構造的側面:社会関係における2次的接触の多さ。ホワイトカラーの増加、近隣とのつながりが弱い

③社会心理的側面:個人主義、無関心な態度 

 

 ワース以降の実証的研究からは、彼の説くアーバニズムに対する反証が次々に提示され、都市においても親密な社会関係が維持されており、加えて歴史的、地域的相違が伴うことも十分認識されるに至っている。

 アーバニズム理論の先駆をなすもので、ワース・モデルとして欧米および日本の都市社会学研究の中心概念を構成している。



【平成16年】Mウェーバーの理解社会学について社会的行為の4類型を中心に説明せよ。

 1.理解社会学

  ウェーバーとって、社会学とは、社会的行為を解明しつつ理解し、そうすることによって社会行為の経過や結果を因果的に説明しようとする学問である。

 ウェーバーにとって、社会学の第一の対象は、社会的行為であり、それを分析することで社会や社会諸関係が理解され、因果関係が説明される。

 社会的行為とは、行為者が主観的に理念された意味に従っていること、行為が他者の態度に関係せしめられていること、行為が他者の過去現在未来に期待される態度に方向付けられていることから、単なる行為とは違う。

 社会とは、個人が社会的行為によって他者と関係することによって成立するもの。それゆえ、社会的行為の意味を理解することが第一であるから、理解社会学と呼ばれる。

  理解は、現実的理解と説明的理解に区分される。

・現実的理解:現実的行為を理解するもの

・説明的理解:その行為の動機に遡って説明し、理解すること

 

 2.社会的行為の4類型

・目的合理的行為:目的に向けて手段が功利的に選択される行為、営利行為

・価値合理的行為:結果に無関心に自らの価値観に従って目的をつくり、それに向けて手段が因果的に選択される行為、創作活動

・感情的行為:感情的要因によって引き起こされる行為、衝動的殺人

・伝統的行為:習慣化された手段や目的による行為、あいさつ

 

【平成15年】インフォーマル・グループについて説明せよ。

  メイヨーは、1924年〜32年にかけて、シカゴ郊外にあった電話機メーカーのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で、照明や休憩、作業時間などの物理的環境の変化が作業の生産性にどのような影響を及ぼすかを調べる実験を行い、ゆえにこれをホーソン実験と呼称している。

 インフォーマル・グループを通しての一体感情や仲間意識が勤労意欲を大きく作用しているということが指摘されている。  まず、インフォーマル・グループについて、フォーマルグループと比較して説明する。 フォーマルグループとは一定の目的を達成するために目的合理的に構成されたフォーマルな組織(経営体・官庁など)内に生ずる第1次集団のこと。たとえば、官庁、経営体などがこれに当たる。

  一方インフォーマル・グループとは、そういった組織の中で、自然発生的に生まれる人間関係のことを指し、例えば友人関係など。

 

【平成14年】大衆社会における権力構造について説明し、中間集団の機能や意義についても説明せよ。

 1.権力構造

 コーンハウザーエリートへの接近可能性と非エリートの操縦可能性という2つの指標を用いて社会を4つに分類した。

エリートへの接近可能性低い・非エリートの操縦可能性低い=共同社会

エリートへの接近可能性高い・非エリートの操縦可能性低い=多元社会

エリートへの接近可能性低い・非エリートの操縦可能性低高い=全体主義社会

エリートへの接近可能性高い・非エリートの操縦可能性高い=大衆社会

 

 2.中間集団

 個人や家族など、諸個人が対面的な関係のなかで親密な関係を結ぶ第一次集団と、国家や全国規模に展開する組織との間の中間にあって、両者を媒介する集団のこと。前者が諸個人の欲求を満たしその生活基盤を支える集団であり、後者が社会全体の秩序維持を司る組織集団であると考えるならば、中間集団とは両者の媒介機能を果たし、比較的多様な諸個人の社会秩序のあり方を可能にしつつ、全体社会の秩序維持に際する権力行使を抑制するという機能を有する。

 中間集団の具体的な例としては、地域、学校、企業、宗教団体などがあげられるが、ミルズ やコーンハウザー は、近代社会における中間集団の衰退を指摘し、特にコーンハウザーは中間集団の衰退が大衆社会の萌芽となることを指摘した。

 

【平成13年】アノミーについて、デュルケムとマートンの説をもとに述べよ。 

 1.デュルケムのアノミー論 

 デュルケムはアノミー(anomie)の概念を初めて提示した。デュルケムは、社会的規範が弱体化したり崩壊したりすることによって、社会秩序が混乱に陥った状態をアノミーと呼んだ。

 デュルケムは『自殺論』において、自殺は、行為者の内面的要因によって起こるのではなく、行為者を包む共通の社会的環境の中にある、彼らは全て同一の方向へ向かわせる何らかの力によって起こると定義する。

 なお、ここでいう自殺とは、死のうと思って死ぬ行為ではなく、死を予知していても、なお死ぬつもりはなく、様々な社会的要因によって結果生命を放棄した行為のことを指す。

 

2.自殺論  

 デュルケムは、自殺を自己本位的自殺、集団本位的自殺、宿命的自殺、アノミー的自殺に分類した。

①自己本位的自殺 社会の凝集度が低下し、個人への自己集中が加速することで、孤独感や焦燥感等をより一層感じてしまうことで自身の生へ理由を認めることができなくなったことに起因する自殺。(例)孤独死

 

②集団本位的自殺 献身や自己犠牲が強調されるような、凝集度の高い社会の中で、個人が社会の中にほとんど埋没してしまい、人間の生が尊重されなくなり、結果発生する自殺。(例)殉職 

 集団本位的自殺は、さらに、義務的集団本位的自殺、随意的集団本位的自殺、激しい集団本位的自殺の三つに分類される。

 ・義務的集団本位的自殺=自殺が義務としてなされる

 ・随意的集団本意的自殺=自殺は矯正されず、任意的な性質を持つ 

    ・激しい集団本意的自殺=自殺そのものが賞賛され、自己犠牲を求めて行なう

 

アノミー的自殺

 社会的規則・規制がない、無規制状態において起こる自殺。

 無規制状態では、より多くの自由が得られることから、個人の欲望も増大するが、次第に個人の欲望は歯止めが効かなくなってしまう。欲望は常に満たされず苦悩が募り続けることから自殺が発生する。不況よりも好景気のほうが、欲望が過度に膨張するので、自殺率が高まると考えられている。 

 

2.マートンアノミー

  マートンアノミーを社会の成員にとって政党な目標とされている。「文化的目標」とその達成手段として一般に承認されている「制度的手段」との間の矛盾ととらえた。 マートンによれば、アメリカ社会では文化的目標である「金銭的成功」は重視されるが、その達成手段である制度的手段の遵守が軽視されることから、アノミーを産みやすいとされた。

 

 また、マートンは、社会の成員のうち上層部は文化的目標に対して制度的手段を選択する機会が多く与えられているが、下層に行くほど、選択の幅は狭まり、アノミーの傾向が強まるとして、社会構造との関連性も分析した。

 さらに、この物価的目標と制度的目標の指標を用いて、個人の適用を、①同調②革新③儀礼主義④頭皮主義⑤反抗に類型化した。そして、社会がアノミー状態に陥ると同庁意外の逸脱行動が発生すると考えた。

①同調:文化的目標を受容し、制度的手段は拒否している類型であり、アノミーではない。

②革新:文化的目標を拒否し、制度的手段は受容している類型であり、ex)強盗。

儀礼主義:文化的目標を受容し、制度的手段は拒否している類型であり、ex)公務員。

④逃避主義:文化的目標を拒否し、制度的手段も拒否している類型であり、ex)ホームレス。

⑤反抗:文化的目標・制度的手段を否定し、新しい目標・手段を受容している類型であり、ex)革命。

 

【平成12年】Eフロムが『自由からの逃走』で論じた、権威主義的性格について説明し、彼の主張が現代的である理由も言及せよ。

  フロムは自由から逃走の中で、ナチズムを分析し、その際用いた概念が権威主義的性格である。権威主義的性格とは、社会的性格(ある集団がもつ性格構造の本質的中核)の一つで、権威をふりかざしたり、権威に従ったりする心的態度のこと。 

 フロムは、ドイツの下層中産階級の社会的性格を権威主義的であるとし、人々がナチズムを支持した原因をそこに求めた。権威主義的性格を持つ人々は、外部的基準によって行動するから、自由であることに耐えられず、そのため自由からの逃走と権威への服従を求める。このような性格が、下層階級や労働階級で多く見られたことから、フロムは権威主義的性格がナチズムの原因の1つと考えた。 

 権威主義的性格はいかに形成されるのか。その原因は、外的権威から自由になったこと。近代以降、人々は権威から自由になっただけでなく、他者からの紐帯からも解放された。その結果、人々は孤独、不安、無気力に襲われ、精神的安定を失うことになった。このような状況下で、心の拠り所を失った人々が権威主義的性格を形成し、新たな権威を求めて、ナチズムを支持するようになる。

 現代においても、外的権威からの自由のみが重要視され、他者との紐帯が希薄になれば、フロムが分析したように、権威主義的性格が社会全体の支配的性格になることも考えられるから、ナチズムや全体主義を回避するために重要なヒントとなる。 

 

【平成11年】社会調査の意義と方法について説明せよ。

    社会調査とは、種々な社会現象を解明するために、フィールドワーク(現地調査)によって、一定の技術・科学的方法を用いて、データを収集・分析・整理する過程である。

 

1.全数調査 対象となる集団の全数を調査する。例:国勢調査

 

2.標本調査対象となる集団の一部分だけに対して調査する 。例:世論調査・市場調査

 

3.質問紙調査

①面接調査法

 調査員が調査対象者と面接し、調査票に従って、質問し、回答を調査員が記入する。回収率が高い。幅広い層の人々から回答が得られる。調査員が口頭で説明するので質問の誤解が起こりにくい。記入もれが起こりにくい.複雑な質問が可能である。 

②配票調査法

 調査員が調査対象者を訪問して調査票を配付し、一定期間内に記入してもらい調査員が再度訪問して調査票を回収する方法である。留め置き法とも呼ばれる。回収率は比較的高い。手元の資料(家計簿や通帳など)を見て記入してもらう調査に向いている。

 ③郵送調査法  

 郵便で調査票と返送用封筒を送り、回答してもらい、一定期日までに調査票を返送してもらう。幅広い地域の調査対象者に調査票を送って調査ができる。無記名にすると。ありのままのことも回答してもらいやすい。

 ④郵送回収調査法

 郵便で調査票を送り、回答してもらい、指定した期日に調査員が訪問することによって調査票を回収する。調査員が回収して回るので、回収率は高い。手元の資料(家計簿や通帳など)を見て記入してもらう調査に向いている。

⑤託送調査法

 既存の組織や集団を利用して調査票を配付し、回収してもらう方法である。調査票に記入するのは、回答者自身である。回収率は高くなりやすい。費用は少なくてすみやすい。

⑥集合調査法

 一定の場所に集合している調査対象者に調査票を配付し、調査員が説明して、その場で回答してもらう方法である。回答率が高い。普段人々が集まって生活し、出席率の良い学校や職場での調査に向いている。

⑦電話調査法

 調査員が調査対象の世帯に電話をかけ、調査対象の相手であることを確認した後、質問を行ない、回答を調査員が記入する。短期間にその時点での人々の意識や意見を調べるのに向いている。

 

【平成10年】大衆社会について説明せよ。

 1.マッキーヴァーの社会集団の類型 

 

 社会集団-------組織集団-----------基礎集団

     |            |------機能集団

     |

      ------非組織集団(群衆・公衆・大衆)

 

 〔1〕

 社会集団は、複数行為者の間の相互関係に持続性が見られ、彼らの間に、ある程度共通の志向が共有されている集合体。

 

・組織集団:集団構成員に役割分担がなされていて、共同目標に向けて協働しあう集団 

・非組織集団:メンバーに役割分担がされていない、共同目標がない集団

 《群衆》

 メンバーが共通の関心を持っており、その関心を満たすために、一定の場所に集まった一時集団のこと。群衆が陥れやすい心理を、ル・ボン『群衆心理』にて、衝動的・激昂的・軽信的・妄動的・非暗示的な性質を持つ。

 

  《公衆》

 マスメディアがもたらす共通関心によって結ばれ、合理的・理性的な存在。ダルド『世論と群衆』、群衆を批判する公衆の存在を提示した。民主主義において、群衆はネガティブな存在で、公衆はポジティブな存在。

 

  《大衆》

 階級、社会的地位、職業、学歴などの社会的属性を超えた異質な不特定多数の人々から構成された集合体である。お互いは未知な関係で、間接的・非人格的関係からなる匿名的集団である。アメリカの社会学者ブルーマーは、大衆を、①構成員の異質性、②構成員の匿名性、③構成員相互の非交流性、④非組織性、の四つから定義づけている。 



〔2〕

 共同関心という観点から、コミュニティとアソシエーションに分類。コミュニティは基礎集団にあたり、アソシエーションは機能集団にあたる。コミュニティは一定の地域に居住し、生活の基本的なものを分かち合っている共同生活をしている集団で、コミュニティ感情(われわれ意識)が根底にある。

 アソシエーションは、成員の特定の共同関心を追求するために人為的につくられた集団で、コミュニティ内部にある一個の器官であることが強調される。

 

◇基礎集団=コミュニティ地縁や血縁を基礎とする社会的文化的諸条件によって形成された自然発生的な集団、家族・村落

◇機能集団=アソシエーション基礎集団から分化に伴って、特定機能を果たすために人為的に形成された集団、政党・国家

 

 2.テンニース

Gemeinschaft /Gesellschaft

ゲマインシャフト=共同社会構成員一人ひとりのために存在する組織である。最小単位でとらえれば血縁組織があり、それ以外では、町内会やスポーツや文化のサークル等がある。こうした組織では構成員の満足感を高めることが重要なテーマとなる。

 

ゲゼルシャフト=利益社会組織自体に目的があり、その目的を実現させるために人材やその他の資源を集め、役割分担や指揮命令系統の整備を行っていく。従って組織利益のためには構成員の犠牲が生じる場合もある。そして目的が消滅すれば必然的に組織としては解散することとなる。代表的なゲゼルシャフトは営利法人つまり通常の企業である。

 

【平成9年】社会に対する文化の機能について説明せよ。

 

  ブルデューは、人間の社会化(個人の相互作用によって集団や社会が形成される過程)において、一定の規則性の上に行動を方向付けるメカニズムが個々人の中に形成されていくことをハビトゥスという概念で説明した。

 

  ブルデューは、ハビトゥスとは、人間の社会化の中で獲得され、身についた物の味方、感じ方、ふるまいなど、持続的に生み出していく性向のことと定義した。

 

  ハビトゥスは、学習や芸術活動などにおいて大きな役割を果たしている。ハビトゥスは、個々人が持続可能な存在として成り立つことを可能にしていると同時に、階級や性別、民族などにはそれぞれに固有のハビトゥスがあり、ハビトゥスを植え付けることで構造的なパターンの再生産を可能とする。

 

  ハビトゥスは、家族から子供へと継承される趣味や洗練された立ち振る舞い、あるいは学校教育で獲得された知識や教養といった、いわゆる経済的資本とは別のレベルで、自己卓越を可能とする要素であり、ブルデューはこのような社会的地位の維持、上昇に寄与するハビトゥス文化資本と呼んだ。

 

  従来は、階級を規定するものとして、マルクスの生産手段の所有非所有といった経済資本が重視されていたが、ブルデュー文化資本という概念を導入し、文化資本が階級を再生産すると提起した。

 

  ブルデューは、フランスの教育システムにおいて、学校教育制度は文化資本を持つものを高い階層へと配列しつつも、持たない者を階層から追い出す階級再生産の送致になっているとした。

 

Ⅱ重要論点

 過去には出題されていないが、今後出題される可能性大の重要論点。

 

フリーライダー

 

  フリーライダーとは、公共財(集合罪)の供給に際して、コストを負担せずに、それを利用するだけの人を指す。公共財とは、国防・一般道路など排除原則が適応されず統合性が成立しない財であり、個人が共通に教授できたり、その教授の機械が開かれていたりする財である。そして、公共財には、非排除性という供給コストを負担しない人でもその利用を妨げられないという性質がある。このため個々の行為者には、フリーライダー(ただ乗り)になる誘惑が働くが、実際に多くの人がフリーライダーになると、公共財の供給自体が困難になってしまうという問題が発生する。これがフリーライダー問題である。オルソンによれば、個人は合理的に行動することを前提とする。個人によってあえて団体に帰属しなくても帰属したときと同様にその恩恵を受けられる場合には、団体に帰属しない選択(フリーライダーになること)が合理的であるとされる。例えば、労働組合運動に参加しなくても、運動の成果から便駅を受けられるが、多くの人がそのように考えてしまえば、運動自体が成立しない、あるいは効果的なものではなくなってしまうといった事例をあげることができる。オルソンは『集合行為論』で、このフリーライダー問題を社会運動論の解明すべき課題とした。  

 

 オルソンは、共通財を求める政治的利益集団の場合、目的自体は個人が集団に参加する要因とはならず、私的な選択的誘因(インセンティヴ)が必要となるため、集団利益が公共財の便益である場合では、フリーライダーは避けがたい、と指摘した。規模集団を形成・維持することは難しく、フリーライダー問題を防止するための方策として、①フリーライダーが監視できるくらい小規模の団体にする②団体への参加を強制する③団体への参加に対して公共財以外の財を誘因(選択的誘因)として提供することをあげた。特に、オルソンは、①はコミュニティレベルを超えて協力行動を考える時には現実的ではない、②は選択の自由を尊ぶ市民社会的な原理と矛盾するとして、③の選択的誘因の提供が有効であるとした。例えば、全米医師会(AMA)は、医療過誤訴訟に対する防衛体制を提供し、その会員に必要な医療ジャーナルを刊行し、単なる政治目的だけではない教育目的からの大会を開催することによって、その会員もしくは潜在的会員に対していくつかの選択的便益あるいは非集合的便益を供給しているという事例を上げた。つまりAMAは、非会員には提供しないこともある便益を会員に供給し、それによって組織に加入する誘因を与えるのであると論じた。

 

役割形成論

 

 →【平成26年】も参照。

 「役割」とは、ある地位に相応しいように期待され学習される行動様式である。役割は権利と義務の両面を含む概念である。つまり、役割は社会的規範によって規定された行動様式であり、サンクション(報償と罰則)をともなった役割規範に従うものである。また「役割葛藤」とは、ある地位にある者が、社会的に期待される様々な役割期待について、その諸期待間での調節が十分に果たせず、困難に直面している事態である。

 そして役割葛藤は以下の2つに大別できる。一つは、役割間葛藤であり、他方は役割内葛藤である。例えば、ある男性は既婚者で子どもがいる、その人があるある学校の教員だと仮定する。同じ日時に子どもの卒業式と勤務している学校の卒業式がバッティングした場合に、父親としては子供が通っている卒業式に出席するという役割期待に応えなければならないが、同時に職業人としては勤務している学校の卒業式に出席するという役割期待に応えなければいけない場合にどちらを優先するべきか悩むといった事例をあげることができる。このような別種の役割間のものは役割間葛藤と言われる。

 一方教員の役割は、その関連する相手との関係で、校長・生徒・父母・文部科学省教育委員会・マスコミなどと対応する、様々な役割部分から成り立っている。役割部分の集合は役割群と呼ばれる。例えば、文部科学省からは、ゆとりをもって個性を伸ばす教育の要請に応えることが期待され、他方父母からは入試合格を目指す教育を期待された場合の葛藤をあげることができる。このような役割群に含まれる諸期待間の調節が困難な場合は役割内葛藤と言われる。

  「役割」の形成に関する考え方は、大きく以下2つである。一つは、リントンからパーソンズにいたる「構造-機能主義」の見解であり、他方ミードからシンボリック相互作用論にいたる見解である。前者では、社会体系の中で個人締める位置が地位であり、その地位に期待される行動様式が役割である。この立場での役割形成とは、すでに社会体系内に制度化されているそれぞれの地位の役割期待や役割規範を個人が学習していく過程である。ただしこの見解では、役割は所与のものであり、それを従順に身に着けていくことが強調されるため、個人の主体性が軽んじられるとの批判もある。 他方、後者では、行為者の相互作用の中で主体的に役割が形成されると考える。例えば、ミードは社会的自我の形成を役割取得過程に求めた。役割の形成・取得とは後者の態度の内面化である。それは、プレイ段階・ゲーム段階・一般化された他者の3つの段階を経て系セされていく。一般化された他者では、役割形成・取得の対象となる他者の範囲が拡大し、複数の他者の役割を組織化して取得できるようになると論じた。

 

社会運動

 ・社会運動

 社会運動とは、社会変動の原因ないしは結果として生ずる社会的危機を解決する意図をもって動員される組織的行動もしくは集団行動である。通常、社会的危機は社会の構造的矛盾から生じるもので、危機の解決には既存の社会構造のどこを、どんな方法で変革するかが問題となり、それに応じて参加者の社会的背景や階級とも関連して、①革命②市民運動住民運動④大衆運動⑤労働運動といった多種の運動携帯が出現する。

 

①革命:広義には物事の状態が急激に変化することを指し、例として科学革命や情報革命。また、狭義には、それは社会体制の根本的変革としての社会改革を指し、例として市民革命やロシア革命

市民運動:特定の階級や階層に限定せず、市民の交通の利害や理念に基づく社会運動を指す。日本では、反戦平和・反核兵器・政治浄化・環境問題・差別撤廃などを主題とする各種の市民運動が展開されている。

住民運動:一定の地域の住民による生活環境の保全などを目的する社会運動である。例として。迷惑施設の建設に反する周辺住民の運動。

④大衆運動:孤立し、原子化され、画一化された諸個人からなる大衆が主体となる社会運動。それは既成秩序の動揺・大衆の不満などを背景に、特定の欲求と目標をもって組織され、比較的持続的な集合行動である。

⑤労働運動:労働性格上の諸問題に直面した労働者が、連帯することによってその諸問題を解決し、さらに自分たちの社会的地位を向上させ、権利を拡充しようとする運動である。

 

 ・新しい社会運動

 労働運動などの旧来の社会運動に対して1960年代以降の先進工業諸国における学生運動・女性解放運動・環境運動などを「新しい社会運動」と捉える見方があり、デュレーヌが提唱した。それは、国家への依存の増大を批判し、市民社会の自立性と自己決定性を基本的価値とする。「新しい」と指摘される特徴は、担い手が女性や成年、マイノリティーなど近代産業社会の周辺的存在であり、効率性と合理性のみを追究する産業社会に対する代替的価値を提示するところである。中央集権的なヒエラルキー型組織ではなく、平等な個人を横でつなぐ分権型のネットワーク型組織を目指すといった点である。

 新しい社会運動は体制変革や権力剥奪を目指すものでなく、民主主義の徹底化を市民社会の自立性の防御にその役割を規定づけるものである。


社会変動論

 1.社会変動論

 歴史を概観すると、社会は絶えざる変化にさらされていることがわかる。このような社会の変動を主題にした理論を「社会変動論」と呼ぶ。

 

2.マルクス

 マルクスの社会変動論は、社会発展段階説と呼ばれ、社会変動を下部構造である生産力と生産関係の統合体の変化によって捉えたものである。マルクスによれば、社会は、法律・制度などの上部構造と、生産的諸関係である下部構造によって形成される。

 下部構造の内部で生産力が変化すると、それに伴って生産様式も変化していく。この下部構造の変動が上部構造を決定していくのである。この生産様式の変動に伴う社会変動は、マルクスによって、原始共同体的社会→奴隷制度社会→封建的社会→資本主義社会→社会主義社会という図式に表された。

 

 3.デュルケム

 『社会変動論』において、機械的連帯から有機的連帯へという進化図式を提示した。機械的連帯とは、人々が同質的で諸個人が相互に類似している程普度に応じて、地縁や血縁によって結びついて成立している社会のことで、原始的社会が典型的な例である。そして、有機的連帯とは個性的な異質な諸個人が分業によって結びついている社会で、つまり近代社会がこれにあたる。

 機械的連帯から有機的連帯への移行は、分業の発達によるものである。これ以降、社会が有機的に結合されるには帰省が正常に働かなければならない。帰省が正常に働かなかった場合、社会はアノミー状態となる。

 

階級理論と階級闘争の制度化論

 1.階級階級

 特定の歴史的発展段階にある社会的体制または社会構成体の中で、生産手段に対する関係の違いによって、地位・資格・機能・所得源泉・所得額などの点で、相互に区別され、かつ相互に対立する人間の群衆であると定義される。

 

 2.マルクスの階級理論

 マルクスによれば、階級は、生産手段の所有・被所有に由来した搾取と被搾取、支配と被支配、富の配分における不平等、および権力。社交その他、生活の善側面における差別状態におかれた対立的な人間集団であると規定される。そしてマルクスは、資本主義の発達に伴って社会全体はお互いに対立する資本家階級と労働階級という二大階級に分裂し、資本家は富を増大させていくが、労働者は【貧困が進行し、このような二大階級の利害の対立はやがて階級闘争と革命を必然的なものとするとした。また、マルクスは、自らの階級位置を自覚し、階級対立についての自覚を持つに至った階級を対自的階級と呼び、階級構成員が即時的(意識をまだ持っていない階級)から対自的階級に転化した時、階級闘争が始めるとした。労働者階級こそが、即時的階級から対自的階級に不可逆的に成熟していく唯一のものとされる。

 

 3.ダーレンドルフの階級闘争の制度化論

 ダーレンドルフは、マルクス主義を批判するために階級闘争の制度化論を提唱した。階級闘争の制度化論とは、産業社会の成熟と共に、階級闘争に法律を含め一定のルールが構築されることにより、労働運動自体が体制の自動安定装置に転化し、体制内に編入されることで階級闘争の激しさが減少することをいう。

 

フロイトエリクソン

 ・フロイト

 フロイトは、心理学的観点から、人間の心的装置を①イド②自我③超自我にわけて分析し、その三要素が総合されたものをパーソナリティとした。ここでは、自我は、イドと超自我の調節機関として捉えられている。

①イド(エス)は、原始的、本能的エネルギーの源泉をなす部分である。性的欲動を中心としたリビドーの即時的充足を目指し、不快を避け、欲を求める「快感原則」に従う。

②自我は、本能的衝動であるイドと、社会的価値の内面化である超自我の葛藤を調節する機能を果たす部分である。

超自我は、幼少期に親から注入された社会的価値を内面化した者で、心的装置の中で道徳的機能を担う部分である。それはイドを監視し、禁圧する心的メカニズムである。

 

 ・エリクソン

 エリクソンによれば、アイデンティティとは自分が自分以外の何物でもないという唯一性・連続性・一貫性の実現と、所属集団からの自己の存在価値が承認されていることの実感がともに実現されている状態のことである。彼によれば、青年期はアイデンティティの確立を課題とする時期のことである。そしてそれがうまくいかなかったときは、アイデンティティの危機に陥ると言われている。

 また、エリクソンアイデンティティを確立するためには、人間が社会的な責任や義務を一時的に免除される状態をモラトリアムという概念で表し、青年期をモラトリアムという概念で特徴づけた。一般的に、高学歴の青年ほどモラトリアムの期間が長い。

 

マートンの機能論

 1.従来の機能主義への批判

 マートンは、従来の機能主義に対して、「機能」という言葉が暗に「プラスの機能」という意味を含んでいるという批判を行った。この批判から、マートンは「正機能-逆機能」、「顕在的機能-潜在的機能」という概念を作り、マイナス機能や見えない機能も組み込むことを主張した。

 

 2.正機能-逆機能

 マートンは従来の機能分析が「動機」という主観的範疇と「機能」という客観的範疇とを区別して居なかった点を批判し、それらを明確に区別してこそ現実的な分析が可能だとした。そして機能を「システムの調節ないし適応に貢献する客観的効果」と定義し、新たに逆機能の概念を提唱した。ここでは、正機能は、システムにとって肯定的に働く機能、逆機能はシステムにとって批判的に働く機能と定義される。

  マートンは官僚制の逆機能として、目的の転移を指摘した。フォーマルな規制、秩序のみによって構成される厳格な官僚制は、本来、組織目標を達成するための効率的な手段であるはずの規則の遵守が自己目的化して、組織をめぐる環境が返って阻害されてしまうことがあるとされる。この現象を目的の移転という。また、マートンは官僚制の問題点として、専門知識による訓練された無能力・専門閉塞・儀礼主義・派閥の形成・非人格性と冷淡さ・尊大や不遜・大衆の軽視などの問題を引き起こすとも指摘した。 3.顕在的機能-潜在的機能

 マートンは顕在的機能と潜在的機能を区別し、特に後者の重要性を指摘した。ここでは顕在的機能は意図した効果が導かれるような機能、潜在的機能は意図しない効果が導かれる機能のことと定義される。例えば、雨乞いは、ある手段で雨乞いの儀式を行って雨が振らなかった場合には、雨乞いの儀式は「雨を降らす」顕在的機能は果たせなかったが、この集団の成員には皆が意識していないところで、集団の結束が固まったという潜在的機能が働いたこととなる。 

 

社会学

 1.デュルケムの社会学

 社会学が一つの学問として確立するためには、独自の対象領域と固有の方法を持たなければいけない。

 

⑴社会実在論

 社会は個人の外部に実在し、個人に対して影響を与えるものであるとする考えである。 社会という全体は個人という部分の総和ではないとされる。

 

⑵方法的集団主義

 社会現象を個人の行為に還元するのではなく、「社会的な事実」として捉えること、例えば、法律、宗教、道徳観等を個人の行為に還元するのは無理があり、外在的なものとして捉える必要性がある。「社会的な事実」は単に外在的なだけではなく、個人を拘束する役割も担う。

 

2.ウェーバー社会学

 「理解社会学」とも言われる。 

 ウェーバー社会学に関する問題意識は近代化であり、近代化は、呪術からの解放であり、つまり、人々が合理的に行動できるようになることを意味する。

 

⑴社会唯名論:社会に実態はないという立場

⑵方法論的個人主義:個人を単位にして社会を論じる立場

 

逸脱行動論

 1.サザーランド『犯罪学原理』

 サザーランドは、『犯罪学原理』において、分化的接触論を提唱した。個人が犯罪や逸脱行動に走るかどうかは、それらに触れる頻度や期間、関り合い (強度・優先順位) の深さが強く関係する。犯罪が日常的に行われ、それが当然であるように思われている環境では、多くの個人がその状況を学習し、自らも犯罪に手を出すようになる。

 個人は、それぞれが属する集団と完全に切り離すことはできない。分化的接触理論は、犯罪行為や逸脱行動が、集団に属する個人に影響を与え、学習させてしまう、という考え方を基にした、環境犯罪学と社会学を融合させた理論である。

  ホワイトカラーによる犯罪を分析。"ホワイト カラー"と称される社会的に信望を有する高い地位にある者が、その職務の過程において、社会的に大きな害をもたらす逸脱行為を行っている事実を明らかにした。

 

 2.ベッカー『アウトサイダーズ』

 べッカーは、『アウトサイダーズ』において、ラベリング理論を提起した。逸脱行動は、個人の属性に起因するものではなく、社会集団がこれを犯したら逸脱者となるような規則を作り出し、特定の人にこれを適用して、彼らをアウトサイダーとしてラベリングすることで生じる。 

 

3.コーエン『非行少年』

 コーエンは『非行少年』で、「非行下位文化理論」を提起した。非行下位文化とは、非行集団に共有されている下位分化であり、これは下層階級の少年たちによって、アメリカ社会で支配的な中産階級的分化に対する反動的文化として形成されたものであり、非行は中産階級的文化への接触と同庁により生じる。

 

 4.レマート『人間の逸脱、社会問題と社会統制』

 レマートは逸脱行為を、第一次的逸脱、第二次的逸脱に分類した。

 第一次逸脱行為は、逸脱行動ではあるが社会的に未承認で本人も無自覚なもの、第二次逸脱行為は、逸脱行動が社会に承認されていて、それを行った者へ逸脱行動の程度に応じて処分がなされるが、それを覚悟した上で行われる確信犯的なもの。

 

 5.ハーシー『非行の原因』

 なぜ、私たちの多くは犯罪行為をしないのだろうか?という、これまでとは全く逆転の発想から犯罪に向き合ったのが、ハーシーの「社会的紐帯理論(ソーシャルボンド理論)。この理論では、人が犯罪をしないのは社会とのしっかりとした絆があるからであり、その絆が弱まったときや、壊れたときに逸脱した行動が起きると考える。

 この社会的絆について、ハーシーは、愛着(attachment)・投資(commitment)・巻き込み(involvement)・信念(belief)という4つの絆を提案している。

 



以上




政治学

 政治学は、とにかく論点が多く、ヤマを張るのが難しいのが特徴です。攻略方法としては、小トピックのストックをたくさん準備しておき、本番ではそれらを組み合わせて一つの答案にするとよいともいます。

 大学院で専攻していたので、既存知識だけで対応しようと思い、他科目のように完全な形での書き起こした答案は準備しませんでした。

 

 

Ⅰ. 重要用語

 これら単体では問われることはないが、知っておくと論述の文字数稼ぎに便利。

 

◆権力と強制力

 権力とは、「AがBに命令をし、ある行為をさせる能力」である。権力の背後には強制力がある。

 強制力とは、服従の可能性を裏付けるものである。強制力には、価値剥奪によるものと、価値賦与によるものとがある。

 

◆権力の実体概念・関係概念

 ・実体概念:権力の本質は強制力にあり、強制力を持つ少数者が、他者を服従させる(ホッブズマルクス)。権力が一方的に行使される側面を重視する。

 ・関係概念:権力者と服従者の間には何らかの相互作用がある(ロック、ダール)。合意の要素を重視する。

 ・ラスウェルの権力観:権力行使の基盤となるものを権力基底power baseと呼び、権力基底の多元性を想定する。

 

◆政治権力と社会権

 他の社会権力と比べて政治権力に特徴的なことは、政治権力だけが合法的な暴力装置を独占しており、強力な物理的強制力をもっていること、また強制力の強さが極めて強力であることである。

 

◆権力の零和概念・非零和概念

・政治権力の社会的機能は「目標達成のために社会的資源を動員する能力」である(パーソンズ)。だから、政治権力は、短期的には個人の自由を制限するが、より長期的には、個人もまた社会組織の権力行使に依存していることになる。

・権力の零和(ゼロサム)概念とは、政治権力が服従者の利益の収奪によって成立しているとする観点である。非零和(ノン・ゼロサム)概念とは、政治権力が社会全体としてはプラスの利益を生んでいるとする観点である。パーソンズは、権力の社会的効用を重視して、非零和概念を呈示した。

 

◆支配の正当性

 服従者の自発的承認を得ると、権力は権威として受け入れられたことになる。これをウェーバーは「支配」と呼ぶ。

1)合法的支配:制定された規則に服従する(近代国家の多く)

2)伝統的支配:支配者の持つ伝統的権威に服従する(王朝)

3)カリスマ的支配:支配者のカリスマ性に対する人々の帰依に依拠する

 

◆政治的リーダーシップ

 一定範囲の人々を一定の目標に向けて統合し、方向付けていく作用をリーダーシップという。自発的支持によるのをリーダーシップ、地位によるのをヘッドシップという。影響力を発揮する側(リーダー)と受ける側(フォロワー)との間には相互作用があり、しばしば両者は協力的関係にある。

 

◆リーダーシップの特性論・状況論

1)特性理論:リーダーシップをリーダー個人に焦点を当てて議論し、リーダーとしての役割の遂行に必要なパーソナリティを扱う。

2)状況理論:リーダーシップを、その社会や、その集団の状況と関連づけて分析する。

 リーダーシップの効果は、集団の目標を達成する程度(生産性)と、集団の成員を満足させ、集団の結束を維持・強化する程度(凝集性)とで測られる。また、リーダーシップは、特性と状況の関数でもある。

 

◆政治的リーダーシップの類型

1)伝統的リーダーシップ:慣習や伝統的様式に則って集団をまとめていく型。

2)代表的リーダーシップ:大衆の利益を代表して行動する型。

3)投機的リーダーシップ:大衆の生の欲望を、その場その場で満たしていく型。

4)創造的リーダーシップ:これまでの価値観とは別のビジョンを提示して、支持を集める型。

 1)2)は安定した社会状況に、3)4)は不安定な社会状況にみられる。

 

◆リーダーシップの類型(ホワイト、リピット)

1)専制的リーダーシップ:活動方針など一切をリーダーが決定し、手順も一方的に命令し、理由など説明しない。

2)民主的リーダーシップ:方針を集団の討議で決定し、何ごとも納得いくまで進め、リーダーは激励と技術的アドバイスを与える。

3)自由放任的リーダーシップ:成員まかせで、リーダーはほとんど関与しない。

 

現代社会の権力構造

 政治権力の分布状態を権力構造という。

1)マルクス主義(階級社会論)

 社会は2階級から構成され、二つの階級の対立がその社会を特徴づける。

 資本主義社会では、資本家階級(ブルジョワジー)と労働者階級(プロレタリアート)が対立する。

 経済的支配階級がそのまま政治的支配階級になり、国家は被支配階級を支配し、抑圧するための暴力機構である。

 

2)多元主義プルーラリズム

 現代社会では、多数の集団が独立的に存在し、集団同士が互いに相手の力を制約するので、社会全体では抑制と均衡が達成されている。リースマンの拒否権行使集団(圧力団体)論、ダールの地域権力構造分析など。

 

3)権力エリート論

 一部の集団に権力が集中化し、それらの集団が相互に結びついて「パワー・エリート」を形成する。ミルズ、ハンターなど。



Ⅱ. 出題されやすいテーマ

 

◆政治文化の類型

〔1〕アーモンド・ヴァーバ

  アーモンドとヴァーバは、アメリカ・イギリス・西ドイツ・イタリア・メキシコについて、比較世論調査を実施し、その結果、メキシコを未分化型政治文化、西ドイツとイタリアを臣民型政治文化、アメリカとイギリスを参加型政治文化に分類した。

 この分類に対しては、アメリカやイギリスのみがデモクラシーに適合的であるとされていることから、西欧中心主義的な文化決定論であると批判が寄せられている。

 

①未分化型政治文化

 この類型に属する人たちは、政治システムに対する関心がゼロに近く、政治の存在にすら気づいていない。伝統社会がこれに相当する。

②臣民型政治文化

 この累計に属する人たちは、特定化した政府の権威・政治システムは意識しているが、政治的要素や政治参加には関心がなく、政治システム二対して受動的・服従的な態度をとる。例えば、フランコ時代のスペインのような独裁政権下の国家、戦前の日本やドイツがこれにあたる。

③参加型政治文化

 この累計に属する人たちは、政治システム全体、そして政治的欲求と政府の下す決定の両面に対し、関心をもっている。

 

 アーモンドとヴァーバは、民主主義的な政治システムを安定させる政治文化を、臣民型と参加型の混合に求め、これを市民文化とした。

 

〔2〕アーモンド

 アーモンドは、民主主義的体制を政治文化が同質的か断片的かによって、英米型とヨーロッパ型に分類し、政治文化が同質的な英米型が、安定的で、優れているとした。これに対し、レイプハルトは、政治文化の観点に、エリートの行動が協調的か敵対的かという観点を加えて多極共存型民主主義の理論を提示し、べネルクス3国・スイス・オーストリアなどの事例を用いて、多元的社会であってもエリートの協調・相互拒否権・比例原則原理・セクションの自律性によって安定した民主主義体制が可能である。

・エリートの協調:多元社会のあらゆるセクションの政治的指導者が、その国を統治するのに協力すること

・相互拒否権:多数派を保護するために、全会一致で決定すること

 

・比例原則原理:政府補助金という形で、財政的希少資源を配分することであり、また、政策決定にあらゆる集団が数の上での力に比例して、決定に影響を及ぼせること

・セクションの自律性:少数派が関心を独占している領域に関しては、少数の自決を認めること

 

〔3〕レイプハルト

 レイプハルトは、近年の民主主義を、コンセンサス型とウェストミニスター型に分類した。コンセンサス型は、様々な宗教や文化がある多元的な社会にふさわしい型であり、多数派の強制ではなく幅広い合意を追求する。(スイス・ベルギー)ウェストミンスター型は、多数決の原理に基づいて、過半数を獲得した政党に権力を集中させるもので、同質的な社会でふさわしい。(イギリス・日本)

 








◆ダールのポリアーキー

 ダールは『ポリアーキー』に、民主主義という論理的で曖昧な概念に変えて、より分析的なポリアーキーという理論を提示し、政治的体制の国際比較を可能にした。

 まず、デモクラシーの条件として、政治参加の拡大を示す包括性と、公的異議申し立ての許容度を示す自由化の2つの軸を重視し、この両面が制度として実現していくことを民主化と位置付ける。包括性と自由化が十分に発達した政治体制をポリアーキーという。ポリアーキーは、不完全なデモクラシーであるが、現実に存在する政治体制である。

 ポリアーキーが可能となるためには、政治的に保障されるべき条件として、自由かつ公平な選挙権、平等な被選挙権、政治的リーダーが民衆の支持を求めて競争する権利が必要。

 

 

 包括性と自由化の2つの軸により、ポリアーキー以外に3つの政治体制がある。まず、両者とも低い政治体制のことを、閉鎖的抑制体制と呼び、絶対主義の頃のヨーロッパが該当する、次に、包括性は低いが、自由化が高まった政治体制を競争的寡頭体制とよぶ。制限選挙に見られる、地主や帰属に政治の自由化が先行して成立していく体制である。第三に、包括性が高いものの自由化が低い政治体制を包括的抑圧体制という。完全な普通選挙制は成立しているものの強力な政治権力によって言論の自由などが抑圧されている状態。

 

 ポリアーキーへと発展してくためには、3つの経路がある。

 第一に、閉鎖的抑圧体制から競争的可能体制を経て、ポリアーキーへ発展していく経路であり、主に西欧諸国が該当する。

 第二に、閉鎖的抑圧体制から包括的抑圧体制を経て、ポリアーキーへ発展していく経路であり、主に東欧諸国が該当する。

 第三に、閉鎖的抑圧体制から革命ないし独立によって、ポリアーキーが実現する経路でありアメリカが該当する。

 

◆投票行動理論

・投票行動

著名な投票行動研究に、コロンビア学派とミシガン学派が行ったものがあり、前者が社会学的アプローチをとったのに対し、後者は社会心理的アプローチをとった。

 

・コロンビア学派

ラザースフェルドらのコロンビア大学のグループは、アメリカ大統領におけるエリー調査で、同一の回答者に繰り返し調査を実施するパネル調査を初めて導入した。そして、投票行動は、有権者の政治的先有傾向により規定され、政治的先有傾向は、特に社会的地位・宗教・居住地域の3つの要因により形成される。

 

・ミシガン学派

キャンベルらのミシガン大学のグループは、社会的心理学的要因を導入したモデルを提示した。そして、投票行動は有権者心理的要因に影響されるとし、心理的要因は、争点態度・候補者イメージ・政党帰属意識(政党支持態度)で構成され、有権者の投票の政党に対する心理的愛着ないし忠誠の感情である。

 

 ミシガン学派は、選挙を、現状維持型・再編型選挙・逸脱型選挙に分類した。現状維持型は、政党への忠誠が変わらない選挙、再編型は有権者の政党帰属意識自体が大きく、構造変化するような選挙、逸脱型は有権者の態度の一時的な逸脱によって政権が移動する選挙である。

 

 ミシガン学派によれば、有権者は、政策争点よりも、政党帰属意識や候補者イメージに基づいて投票していることにより、有権者の合理性に対する疑いが出てくる。これに対し、フィオリーナは、業績投票の理論を提示した。業績投票の理論によれば、有権者の合意性を確認するためには、政策争点に基づいた投票が行われているかどうかは必要なく、政権政党の過去の業績に対する判断に基づいて有権者が投票しているかどうかが必要である。

 

マスコミュニケーション

特定の送り手が、不特定多数の受け手に対して、マスメディアを通じてパブリックなメッセージを発する過程のこと

 

〔1〕リップマン「擬似環境」

リップマン『世論』のにて提起。

擬似環境=自分では直接に見たり触れたりできずに他人の媒介を減ることによって関節的に経験される環境のこと。現代人は擬似環境に頼っている。

現実環境=自ら直接接触したり経験したりできる環境

 

 人間がものを見る際に、ありのままに見るのではなく、頭の中の像に照らしてそれに修正を加えている、そのような世界に対する画一的なイメージをステレオタイプと呼んだ。

 マスメディアは大量画一化された情報を流すことから、ステレオタイプ化されたイメージを構成されやすい。この単純で用意なイメージは直接的に検証されることなく、我々に受け入れられていく。現実環境は直接的に検証することも可能であるが、擬似環境は直接的に検証が難しいので、そのイメージに歪みがあっても修正されることが少ない。マスメディアの発達によって、人々のコミュニケーション可能な領域は広がったが、その反面、現実環境と擬似環境のずれが大きくなり、人々はステレオタイプに支配されている問題。

 

〔2〕ラザースフェルド「二段階の流れ」

  ラザースフェルドは1940年のアメリカ大統領選の人々の投票行動を、オハイオ州エリー郡で調査。その結果は、限定効果論を論証(マスコミの効果は限定的なもの)するもので、調査の仮説として、「コミュニケーションの二段階の流れ」を提示。メディア(送り手)から発せられた情報は直接一般大衆(follower)に伝達されるのではなく、オピニオンリーダーからpersonal communication(比較的小規模の人間間での言葉・身振りなどのメディアを通じてパーソナルなメッセージの交換をすること)によって一般大衆に伝えられる。マスコミュニケーションよりもpersonal communicationの方が投票行動に影響を与える。

 意義:一般大衆は理性的に負担の高いものを避けて情緒的な満足を求めるから非理論的な存在。personal communicationにおいて、受信者と発信者の立場が入れ替わることがあるから、受信者が理性を働かせるきっかけは常にある。民主的な社会の担い手にとってpersonal communicationは重要。

 

◆マスメディア

マスメディアは、現代政治を成立させるために不可欠な要素であり、1930年代ごろから、その機能や効果について研究が進んできた。

 

 

【機能】ラズウェル

ラズウェルはマスメディアの潜在的機能を以下のように分類。

①環境の監視機能

釈迦の内外で生じた政治的事象を社会のメンバーに伝える監視的機能

 

②社会諸部分の相互の関連付け

社会内部の政治的事象を解釈し、それを相互に関連され、社会メンバーの方向付けをする

 

③社会的遺産の伝達機能

政治文化や社会的規範を次世代へ伝達する機能

 

【機能】ラザースフェルドとマートン 

ラザースフェルドとマートンは、メディアの潜在的機能を以下のように分類。

①地位付与の機能

社会的問題や人物をメスメディアが取り上げることで、それらを正当化し威信を与える機能

 

②社会的規範の強制機能

マスメディアが事件や人物を講習の前に晒すことで、社会の規範や道徳基準を活性化し、補強する

 

③麻酔的逆機能

マスメディアから大量の情報に接している人が、受動的に情報を吸収することで満足を得て、社会への能動的参加をしなくなる状態を作り出す機能であり、政治的無関心の一つの要因にもなっている。

 

【効果】皮下注射モデル

マスコミはあたかも受け手に巨大な注射器でメッセージを一方的に注入して、直接かつ即時的な影響を与え、受けての無批判的同調性を生み出すという強力効果論である。

 

【効果】限定効果説

①クラッパーは皮下注射モデルを批判し、マスコミの効果が、メディアの内容以外の条件によって限定されていることを定式化した。マスメディアは、一方的に受け手に対して直接作用するのではなく、様々な要因に媒介されて作用しており、それらの媒介要因によって、通常受け手の考え方を改変するというよりは、補強する傾向が強い。

 

②ラザースフェルドはコミュニケーション2段の流れ説を提唱した。この説は、コミュニケーションは、マスメディアから直接的に一般大衆に伝達するのではなく、オピニオンリーダーを介して、段階的に伝達される。マスメディア以上に、このオピニオンリーダーが周囲の人々の影響を与えている。

 

【効果】新効果強化論

1950年代頃から、テレビ番組の普及もあり、マスメディアの影響力について、限定的に捉える見解に疑問が生まれ、新強化効果論が提唱された。

①ノエルノイマン

ノイマン沈黙の螺旋仮説を提唱した。この説は、マスコミに伝えられる意見は、それが実際には有力な意見ではないにもかかわらず、外見上は有力な胃炎であるように人々に受け止められる。そのため、マスコミの意見とは異なる少数意見を持っている人々は、周囲の人々から孤立を避けようとし、人前では沈黙を守ろうとする。そして、このように、沈黙を守ろうとするものが螺旋的に増幅するというものが、沈黙の螺旋説である。

 

②マコムズとショー

マコムズとショーは課題設定機能を提唱した。人々は、マスコミが、ある特定の情報を強調することにより、その情報が存在することを知るだけでなく、その情報が重要であると認知する。

 

◆権力・官僚制・支配の正当性

 

 官僚制は、巨大な組織を合理的に運用する仕組みであり、頂点に独任制の長を起き、その下に行くそうものヒエラルキーを持ち、次第に末広がりに広がっているピラミッド型の統制構造を持つ組織である。ウェーバーは、官僚制のプラス面を、マートンはマイナス面を問題にした。

 

 近代官僚制は、前近代に見られる家父長制的な支配とは異なり、組織を構成する人間の関係は、能率を重視する非人格的(非人間的ではない)な結びつきによって成り立っているとされる。つまり、血縁によるつながりや感情的な結びつきなどではなく、合理的な規則に基づいて人間関係が形成されているということである。

 なお近代官僚制は、権限の原則・階層の原則・専門性の原則・文書主義のような特質を備えていることが指摘されている。

 ウェーバーは、近代官僚制のもつ合理的機能を強調し、官僚制は優れた機械のような技術的卓越性があると主張した。

 

◆近代官僚制への批判

〔1〕マートン

・官僚制の逆機能説

先例がないからという理由で新しいことを回避しようとしたり、規則に示されていないから、上司に聞かなければわからなかったりといったようなものから、書類を作り、保存すること自体が仕事と化してしまい、その書類が本当に必要であるかどうかは考慮されない(繁文縟礼)、自分たちの業務・専門以外のことやろうとせず、自分たちの領域に別の部署のものが関わってくるとそれを排除しようとする(セクショナリズム)、というような傾向を指し示している。

 

・目的の移転

規律を遵守しようとするあまり、規則の遵守それ自体が自己目的化してしまうこと。フォーマルな規則、秩序のみによって構成される官僚制は、本来組織目標を達成するための効率的な手段であるはずの規則の遵守が自己目的化してしまい、組織をめぐる環境条件の変化、組織の人的変化に順応できず、かえって事務の効率が献体し、組織の目標を達成できなくなる。

 

・訓練された無能力

社会の状況変化にもかかわらず、官僚が規則に呼集すれば、かえって機能障害を引き起こしてしまうこと。

 

〔2〕ブラウ

 人間関係論と官僚の逆機能性を統合させた。人間関係論は、人間は必ずしも機械のように動かず、非合理的な感情や欲求によって支配されており、経済的利益のみならず心理的動機や社会要因の影響も受ける多面的存在であると捉える。

 ブラウによれば、組織内部の社会的な凝集性が欠如したり、社会関係の安定性が欠如したりすると、組織構成員の地位が不安定にあり、同調過剰(規則へのあまりにも厳格な遵守に呼集すること)の行動が見られる。

 

〔3〕グルードナー

官僚制的管理を、代表的官僚制・懲罰的官僚制・擬似的官僚制に分類

代表的官僚制:上位者と下位者の相互理解によって制定された規則に基づく官僚制

懲罰的官僚制:上位者によって下位者に強制賦課された規則に基づく官僚制

擬似的官僚制:上位者と下位者ではなく、第三者が決めた規則に基づく官僚制で、上位者と下位者は規則を守っているふりをしている

 

 

〔4〕ウェーバー

権力:ある社会関係の中で、抵抗を排除してもでも、自己の意思を貫徹しうる可能性

支配:権威に支えられた権力関係

 

服従者が、支配者の権力を政党なものとみなして服従する根拠を、権力の正当性または権力の3類型という。具体的には、①カリスマ的支配伝統的支配合法的支配の3つに分類した。実際にはこれらは独立した形で現れるのではなく、相互に絡み合って支配関係を形成していると考えられている。

 

①カリスマ的支配

カリスマ的支配とは、「非凡な能力を持った支配者の魅力」に対する人々の信仰を、支配の基礎とするものであり、危機的状況において作用する。その例として、軍事的支配・預言者

 

②伝統的支配

伝統に裏付けられた権威に対する忠誠を支配の基礎とするものであり、家長制。古代王朝など。

 

③合法的支配

合法的支配とは、制定された諸秩序の合法性を支配の基礎とするものであり、官僚制がその例として挙げられている。なお、問題点としては、合法的支配では、形成的正当性を要求するので、法律としての体制さえ整っていれば、国家は何をしても自由だとする法律万能主義に陥る危険性がある。

 

◆稟議制

行政における計画や決定が、末端の者によって起案された稟議書を関係官に順次回議してその印判を求め、さらに上位官に回送して、最後に決裁者に至る決定方式のことです。

 

稟議制度のメリット

・会議のコスト削減

稟議書を活用すれば紙一枚で会議同等の内容説明、承認の意思を確認できます。

・事実確認の効率化

・承認者が内容を検討しやすい

 

稟議制度のデメリット

・最終承認まで時間がかかる

・責任の所在が曖昧

 

ロールズの正義論

 

1.原初状態と未知のベール

ロールズは、20世紀のリベラリズムの代表的な思想家。

社会契約説における「自由状態」に対応するものとして、「原初状態」を仮定する。

そして原初状態では、社会の構成は、将来の自分の地位を知ることができない「無知のベール」に覆われている。そのため、構成員は誰もが最も不利な条件に置かれた時でも甘受できる「正義の原理」を受け入れるとする。

 

2.正義の原理

ロールズの「正義の原理」は、1)最大限の平等な自由と、2)(a)公正な機会均等の原理と(b)格差原理である。

 

1)自由原理

基本的な自由は、他者の自由を侵害しない範囲で、すべての人に分配されなければならない。

 

2)社会的・経済的な不平等

(1)最も恵まれない人々の最大の利益になり(格差原理)、(2)公正な機会均等の条件の下、すべての人に開かれている職務・地位に付随するように(機会均等原理)、編成されなければならない。

 

 ロールズは、①の「自由の原理」②の「(1)格差原理」「(2)機会均等原理」の3つの原理について、実際の社会を構想する上では、①自由の原理②機会均等原理③格差原理の順番で優先し、構想しなければならない。

 したがって、ロールズは、条件付きで基本的に社会経済的不平等を是認している。これは、完全な平等を保証する社会よりも、公平な機会均等を実現する社会を目指すべきだというロールズの主張に繋がる。

 

【批判】リバタリアニズム

ロールズに対し、ノージックを代表するリバタリアニズムによる批判がある。

ノージックはロック的な所有権の考え方に基づいて、人間は自分自身を私的に所有する絶対的な権利である権限を持つと主張し、ロールズの格差原理に基づく再配分を批判した。

ロールズによれば、累進課税によって、お金持ちの所得を貧乏人に分け与えることは正義ということになるが、その所得が正義か否かの判断は、そのような手続きを経て獲得したかおいう点にあるとして、ノージックロールズを批判した。



議会政治

議会政治の原理

議会政治とは、国家の最高権力を、国民が的的に選ぶ代議員によって構成される議会におく政治のこと。

議会政治には3つの原理がある。

 

①国民代表制の原理

議員は選挙民の代理人ではなく、国民全体の代表である。バークがブリストル演説で提唱した原理。この原理では、一部の選挙民の権利に拘束されず、国民全体の利害を代表することになる。

 

②多数決の原理

意見がまとまらない時は、多数の意見を持って全体の意思とする原理である、この原理が成立するためには、まず多くの議員による慎重な審理を経て、少数意見も尊重しなければならない。多様な意見をまとめる次善方法とされている。

 

③行政監督の原理

議会は国家意思の発動を効果的に監督する機能を持っていなければならない。行政統制や不信任決議国政調査権がこれにあたる。

  

ポルズビー

 ポルズビーは、変換機能の有無で議会を分類した。変換機能とは、社会的な欲求を政策に換えていく機能のことを指す。

 ポルズビーは、変換機能がある議会を変換型と呼び、その特徴として、審議過程を通じて、提出された法案が多く修正されている。アメリカ。法案提出権は議員にしかないので、「大統領が法案を提出したい時は、その法案を「支持する議員の名で提出する。法案は専門の常任委委員会で活発な審議が行われて修正されている(委員会中心主義)。また、議員は政党からの拘束力が弱く、ログローリング・交差投票が行われることもある。

 一方、アリーナ型(イギリス)は、提出される法案は内閣提出よりも議員提出が多いが、内閣提出法案の方が成立しやすい。また、本会議中心主義(本会議で法案を審議する形式)がとられる。与野党リーダーたちの討議は、次期選挙に向けた国民へのアピールの目的がある。日本は、混合型である。



国家論

 

一元的国家論

 国家が絶対的主権を有するとする理論。社会契約説をはじめとする伝統的政治理論はこれ。しかし小さな政府の出現は、一元的国家論を主張する理由を失わせた。

 代表的論者は、ヘーゲルとグリーン、アリストテレス。グリーンは、個人と社会を結ぶ紐帯として共通善の概念を打ち出し、共通善の実現とは個人の自己実現であり、それに貢献する限り、国家の活動は正当化される。

 

多元的国家論

 多元的国家論は一元的国家論の批判から発したもの、国家と社会とは区別されるべきであり、その特権性は否定され、国家は社会全体から見ればその部分社会にすぎない。第一に、社会集団は、その内部に統一的な意思決定の機構を有する。第二に、意思決定機構は構成員を服従させるために、ルールに即して適切な指導をする。第三に、意思決定機構は非服従者に対して制裁措置を取る。 代表論者は、ラスキ、バーカー、マッキーバー、コール

・ラスキ『政治学大綱』において、国家は他の社会集団と同様に、一定の機能を遂行しうる集団にすぎない。複数の集団に所属する個人の忠誠を求めて、各集団はお互いに競い合う。

 ・バーカーは、社会の多様化によって、様々な利益集団が出現する「集団の噴出」という状況が、集団対国家の視点をもたらした。



二院制

 議会を2つの議員によって構成する制度であり、一院制と対比される。一般的に、国民の直接選挙によって選ばれる議員で組織される議院を下院と呼ぶ。

 

・イギリス型

上院の議員は貴族階級から選ばれ、下院を上院によって牽制する。戦前の日本もこれ。

 

アメリカ型

上院議員は各州の代表として選挙され、隔週の利益を議会に反映することを目的としている。

 

・日本

両院とも公選議員によって組織されている。

 

議会内閣制・大統領制

議院内閣制

 議院内閣制は、内閣の存在が意思によって定められる制度であり、議会の信任が有る限り、内閣がその地位にとどまることができるとする、議会優位の思想に基づく政治形態である。

その起源はウォルポールが、自らの内閣不信任が可決された際、国王の信任があるにもかかわらず辞職したことである。

 

議会の特徴は、

①首相は議会の多数党から選ばれ、その首相が閣僚を任命し、内閣を構成する。

②内閣は議会に対して連帯責任、議会は内閣の責任を問う不信任決議権を持つのに対して、内閣は議会の解散権を持つ。

③内閣は通常議会の多数の支持を得ているので、行政権のみならず立法権も事実上掌握していることになる。

 

□イギリス

 イギリスの首相は形式的には国王により任命されるが、慣例的には下院の第1党党首が選ばれ、国王により任命される。首相は同輩中の首席。下院を解散するには、下院の3分の2以上の多数の賛成を得る必要。また、二大政党制が確立しているため、野党が影の内閣を組織する。

 

□日本

 日本は、国会議員のなかから国会の議決で指名され、天皇により任命を受ける。首相は閣僚を任命するが、過半数は国会議員。首相は内閣の首長という位置づけ。




大統領制

 大統領制とは、国民によって選ばれた大統領が行政機関の最高責任者として効力な権限を有し、議会に対して高度の独立性を有する制度である。

 大統領制の特徴は、君主が存在していない国において採用されており、大統領は国家元首の役割を果たすこと・大統領は議会から選出・罷免されないこと(立法権と行政権の分離)が挙げられる。なお、大統領制と議院内閣制がともに採用されることもある。

 

アメリ

 アメリカ議会は大統領に対して弾劾することはできない。他方、大統領は議会を解散する権限をもたない。もっともフランスの大統領には議会の解散権があるので、大東調整だからといって、解散権がないわけではない。

 

半大統領制

 半大統領制は、議院内閣制の枠組みを採りながら大統領が大きな権限を持つ制度である。

 

□フランス

 選挙で選出される大統領がいること、大統領が憲法上大きな権限を持っていること、議会の過半数の支持により成立する首相と内閣があること

 

□イタリア

 イタリアの大統領は、議会上下両院の議員と地方代表による間接選挙で選出され、国家元首としての権威はあっても行政や軍事に関する権限はことごとく首相のもとにある。

 首相は大統領によって任命されるが、通常は議会が行う首班指名をそのまま受け入れるにすぎず、したがって首相の事実上の任命権者は議会ということになる。それではイタリアの大統領とはただの国家の象徴にすぎないのかというと実はそうでもなく、例えば議会の解散権は各方面との調整の上で機を見て大統領ひとりがこれを決断する専権事項となっている。



地方自治

 〔日本〕

 地方自治とは、国の中に存在する地方について、地方住民の意思に基づいて行われることを指す。

 国家全体の運営に関しては、同一的・均一的に運営されることが望まれるが、地方の実情や地方住民のニーズは各地方において様々であるから、これにあわせて、同一的・均一的に国家運営をすることは不可能である。そこで、地方の運営に関しては、地方の独立性を尊重する必要があることから、地方運営は地方に委ね、国は国家にかかる根本的な事項を担当し、国家は全体の調整を図るような役割分担がなされる。

 

 日本の地方自治については、日本国憲法第8章において定められている。憲法92条は、地方自治の原則を示しているが、条文の地方自治本旨とは、法律をもってしても侵害し得ない地方自治の核心部分を指すとされており、具体的には住民自治と団体自治である。

 住民自治とは、地方公共団体自治がその地域の住民の意思に基づいて行わなければならないとする原則であり、地方自治の民主主義的原理に基づく。具体的には、住民による地方議会の議員や首長の直接選挙、直接請求権、地方特別法の住民投票である。イギリスやアメリカで発展したアングロサクソン型に起源がある。

 団体自治とは、地方自治体が国から独立して自らの意思に基づいて自治を行う原理のことで、地方自治の権力分立に基づく。具体的には、条例の制定や財政が国から分離していることであり、国からの不当な干渉を受けない。フランスで発展したヨーロッパ大陸型に起源がある。

 

〔西洋諸国〕大陸型・アングロサクソン

西洋諸国の地方自治は、どのような近代化の過程を辿ってきたかによって、その形態は国によって異なる。

 

・大陸型(フランス)

 大陸型はフランスをその母国として、ドイツ、イタリア、スペインなどに波及していった地方自治の形態である。フランスなどの大陸諸国は、国民国家形成過程で絶対君主が国内の封建勢力を崩壊させ、県が国の地方下部組織であり、新たな中央集権国家を形成させて、その他方、支配の機構として自治体を創設した(以上から、集権型の地方自治とも言われる)。

 また、①国の事務権限と自治体の事務権限を分離せずに授権する形式(概括授権方式)を採用していることから、同一地域で国と自治体の行政サービスが競合する場合がある。②大陸型諸国の市町村は、自治体としての自治事務を行うのと同時に、中央政府の委任事務も請け負う(=二重の役割)、③中央政府には内政の総括官庁たる内務省が設置され、各省庁所管の事務権限の執行を知事が一元的に調節している。

 

アングロサクソン

アングロサクソン型はイギリスを母国として、アメリカなどに波及していった地方自治の形態である。古くから存在していた地方共同社会の自治と、中央政府との対立がそれほご激しくなく、地方が一定の自立性を保ち、国家主権の絶対かが制約されている地方自治のかたちである(以上の性質から、分離型の地方自治とも呼ばれる)。また、自治体が行使しうる権限を一つ一つ個別に列挙している授権方法(制限列挙方式)を採用していること、国と地方の事務権限が明確に分けられているために国が地方で仕事をするためには、出先機関をつくらなければいけないことなどの特徴がある。

 

選挙制度

小選挙区制と比例代表制

 選挙制度は、小選挙区制と比例代表制に分類される。

 

 小選挙区は一選挙区から1名の代表を選出する方法で、アメリカの上院下院、イギリスの下院、日本の衆議院の一部で採用されている多数代表制の一種である。

 多数代表制は、各選挙区の多数が議席を独占できるような代表制があり、地域社会が緊密な一体性を保有している場合に望ましい。また、小選挙区制は二大政党制になりやすく、単独過半数による安定的な政治になる可能性が高い。さらに、政党は各選挙区に1名しか候補者を立てないため、政党内の同士討ちが無くなり、政党論争が行われやすい。

 一方、1名しか当選しないことで、指標が多く発生し、少数党の議席獲得が困難。リマインダー(選挙区内の境界線を特性政党に有利になうりょうに不自然に設定・改変すること)の危険がある。

 

 比例代表制は、政党本位の選挙であり、各政党が有権者からの投票数の割合に応じて議席を配分する。比例代表制は、地域社会の一体性が失われ、利益の多様化が進んでいる地域で望ましい。比例代表制は、死票が少なくなり、少数党も議席を確保できる、多様な民意を性格に反映することができる。

 一方で、小党分立になりやすく、連立政権がよる不安的な政治になる可能性が高い。また、無所属候補は立候補できない、政党幹部に権力が集中しやすい。



 選挙区制では名前を書いて投票を行うのに対し、比例代表制のもとでは原則政党名を書いて投票を行う。しかし、参議院選挙においては一人の立候補者の名前を書いて投票することも可能。その場合はたとえ自分が投票した立候補者が落選しても死票にはならずに、政党への票となる。

 対して衆議院選挙下での比例代表制では、「拘束名簿式」という制度が適用され、あらかじめその政党の中で当選する順位が決められているので政党名で投票を行う。

 

衆議院参議院

 衆議院選挙では小選挙区比例代表並立制小選挙区比例代表制を組み合わせたもの)&衆議院選挙下での比例代表制では、「拘束名簿式」という制度が適用され、あらかじめその政党の中で当選する順位が決められているので政党名で投票

  参議院選挙では、選挙区比例代表制で、原則政党名を書いて投票を行う。しかし、参議院選挙においては一人の立候補者の名前を書いて投票することも可能で、その場合はたとえ自分が投票した立候補者が落選しても死票にはならずに、政党への票となる。



政治的リーダーシップ

 リーダーシップとは、一定の目標達成のために、集団を統合し方向づけていく作用である。このようなリーダーシップの特徴は、政治的リーダーシップにおいても共通しているが、政治的リーダーシップの分析では、組織全般ではなく政府組織や政治的指導者に着目する。

 

政治的リーダーシップ論

 リーダーの個人的特性を重要視する特性論と、リーダーシップを条件付ける環境に重点を置く状況論にわけることができる。

  特性論とは、リーダーになるためにはなんらかの特性が必要であるとする立場。

プラトンは、善のイデアを認識しかつ政治技術が高い鉄人王が統治するべきと主張。

マキャベリは、国民を操作しうる狐の知恵と、国民を服従させる獅子の見せかけを兼ね備えた君主をリーダーとすべきと主張。

ウェーバーは、死闘者たるべき政治家に必要な資質として、情熱・責任・判断力を挙げている。

 

シュミット

大衆民主主義は、議会主義の原則を骨抜きにすることで、民主主義そのものを危機に陥らせる。その結果、民主主義がその反対物である独裁を生むことになる。

 

・伝統的リーダーシップ

 指導者が、慣習や伝統に基づいて支配するもの、伝統社会でみられる。

 

・代表的リーダーシップ

 価値体系が安定した政治社会に成立するリーダーシップであり、政治的な課題は大衆の利益充足を巡って形成される。このような社会では、大衆が生活様式や価値体系の全面的な変革を求めることはないので、保守的なリーダーシップといえる。既存政党の代表がこれに当てはまる。

 

・創造的リーダーシップ

 危機的状況に際してこれまでの価値体系そのものの変革を図ることによりリーダーシップを獲得しようとする。ここで最も重要なことは、新しいビジョンの提示である。政治変革を目指す新たな政党のリーダーがこれに当たる。

 創造的リーダーシップは、革命のような急激な変化の際には決定的な影響を果たすが、変化が一段落を告げて政治社会が安定を取り戻すようになると、今度は代表的リーダーシップが支配的な位置を獲得するのが普通である。

 

 ・投機的リーダーシップ

 創造的リーダーシップとは異なり、価値体系そのものを変えようとはしない。むしろ、あらゆる階層に対してその場限りの公約を乱発する。その公約は、相互に矛盾するだけでなく、初めから達成不可能であることがわかっている。ナチズムとファシズムがその典型的な例ではあるが、こうした例にも明らかなように、投機的リーダーシップはしばしば大衆のカリスマ的リーダーへの熱烈な期待を満足させるものとして成立することが多い。



エリート論

・モスカ「エリートの少数支配」

民主制・君主制を問わず、いかなる国家においても、常に組織された少数派が支配する。これは少数者が少数者であるがゆえに組織しやすく、多数者は多数者ゆえに組織されにくい。

 

・パレート「エリートの周流」

 エリートの周流の理論によれば、あらゆる社会は一部の統治エリートと多数の非エリートによって組織されている。そして統治エリートはその社会性質において、知恵と術策に依拠する狐型と、信念に依拠するライオン型に分類され、狐→ライオン→狐で周流する。つまり革命なきエリートの交代が行われる。

 

・ミヘルス「寡頭制の鉄則」

 寡頭制とは、少数者によって政権が担われている国家形態のこと。ミヘルスは、ドイツ社会民主党に焦点をあて、民主的な理念を実現しようとして作られた組織が、肥大化していくととともにその組織の秩序を保つために逆に少数支配になっていくと指摘した。

 

パワー・エリート

 パワー・エリートは重要な結果を伴うような結果を下しうる地位を占めている人々のことである。ミルズは、大衆社会状況下にある1950年代のアメリカの権力構造を明らかにするために、パワー・エリートという概念を提示した。彼によれば、現代社会では、機能分化の結果、様々な領域の中でのエリートが存在するが、権力はその中の、政治・経済・軍事の3つの領域の頂点に位置するパワー・エリートに存在するという、一元的権力構造論を主張する。

 政治においては政治指導者が、経済においては会社幹部、軍事においては軍部高官が各パワー・エリートであるが、彼らは利害が構造的に一致する一つのグループを形成しており、国家の政策にも大きな影響を与えている。権力分立と民主主義を建前とするアメリカにおいても、権力構造の底辺では大衆社会化が進み、政治的無関心が支配的になっているため、実際にはこのようなエリートの支配を逃れられない。

 

 これに対して、リースマンは『孤独の群衆』において、政治的エリートと大衆との間の距離が接近し、支配者と被支配者との区別がつきにくくなった。「拒否権行使集団」は、農業・労働・専門家などの圧力団体のことである。彼らは、自己の利益が政治的に脅かされそうな時、持ちうる影響力を行使し、自己の利益を守ろうと行動する。このように、リースマンは社会において「拒否権行使集団」によって権力が分散されているとみる、多元的権力構造論を展開した。



圧力団体

 圧力団体とは、政治に対して、なんらかの圧力を行使し、特殊利益の実現を目指す集団のことをいう。圧力団体が形成した背景として、20世紀以降の工業化や都市化が大きい。すなわち、社会の利害が多様化し、立法国家から行政国家へと変換が図られたことである。行政国家が「社会の各分野で規制を強化すると、社会における利害の対立が発生し、人々は一個人のまま政治過程において自己の利益を達成できないため、なんらかの社会集団を組織するようになる。バーカーの「集団の噴出」となった。

 利益の対立は、代表原理の変質も起こった。全国民の代表である議員は、地域単位で選出する制度であり、地域を超えた広がりを持つ集団的利害を十分に代表することができなくなった。

 

 圧力団体の機能としては、第一に、利益表出機能である。社会に散々する潜在的欲求を集約し政治的欲求としてまとめあげ、これを広く社会に明らかにする機能である。第二に、地域代表制の補完機能である。地域代表の色彩の選挙制度を補完し、地域を超えた利害を代表する機能である。特殊利益の実現を第一に考えて行動するために、いかなる政党とも結びつく可能性があり、政権獲得は目指さない。



政党

 政党は、国民的利益の増進を目指して、政治的目的に関して同じ考えを持つ人々が、自分たちの政策の実現を目指して結成する集団である。国民的利益の増進を実現するためには、政党は選挙を通じて政権獲得を目指すことになる。ノイマンは政党を「現代政治の生命線」とし、政治過程に重要な役割を持つ

 政党の機能としては、政策形成機能があり、利益集約機能と利益表出機能がある。政党は、社会生活の場で生じる利益対立を政治的に解決するために、社会の要求や紛争を体系的にまとめあげる、利益集約機能を最重要機能としている。利益表出機能は、社会に散々する潜在的欲求を集約し政治的欲求としてまとめあげ、これを広く社会に明らかにする機能である。

 

サルトーリ

 政党を中心とした政治形態のことを政党政治というが、この政党政治が展開される枠組みを政党制という。

 サルトーリは、デュベルジェの一党制・二党制・多党制をより緻密に分類した。

・一党制:一党制については、一党制・ヘゲモニー政党制・一党優位制に分類される。

一党制は、たった一つの政党だけが存在していることを許されている政党制である。

ヘゲモニー政党制は、一つの政党を中心にして小政党の存在を認める政党制であるが、小政党は単に存在していることを有されているにすぎず、政権交代は起こり得ない。(ポーランド

一党優位制は、合法的に政党が存在しているにもかかわらず、一政党が投票によって多数派を占め、政権交代が発生していない政党制である。(55年体制の日本)

 

・二党制(二大政党制):2つの政党が強豪し、一方が過半数議席を獲得して単独政権を組織しているが、政権交代の可能性もある政党制のこと(アメリア・イギリス)イギリスでは、保守党と労働党アメリカでは共和党民主党の二大政党制となっている。

 二大政党制のメリットは、①政策争点がわかりやすい②政治的責任の所在が明確③単独政権で政権が安定している一方で、①国民の意思が反映しにくい②政策が類似する③多数党が政権を長期独占する。

 

・多党制:政党が3つ以上で、大抵の場合、一党で多数議席を獲得できないので、連立政権を組む政党制である。

多党制の長所は、①多様な国民の意見を取り入れられる②世論の変化で政権交代が可能である③政策が弾力的である。一方で、①政権が不安定②政治的責任の所在が不明確③政党内で主権の争いが起きる

限定的多党制は、政党数が3〜5で、政党間イデオロギーが小さいため、安定している。(ドイツ)

分極的多党制は、政党数が6〜8で、政党間いでオロギーが大きいため不安定。(ワイマール共和政時代のドイツ)

原始的政党制は、極端に多数の政党が乱立している政党制(マレーシア)



ネオコーポラティズムと多元主義

 代表論者はシュミッター。ネオコーポラティズムは、それを構成する集団の数が限定されており、団体の構成員は一つの団体にのみ所属し、参加義務がある。多元主義においては、それを構成する集団の数は限定されておらず、集団構成員は複数の集安に所属でき、参加は自発的である。

 ネオコーポラティズムにおいては、巨大な利益集団が国家の政策過程に政策的に組み込まれ、国家の政策に協力しながら、自己の集団の利益を部分的に達成しようとする。

 多元主義は、政府が利益集団に自由は活動を保証し、利益集団の競争に基づきそれぞれの政策ごとに多元的な意思決定を行う。

 

・ネオコーポラティズム

 ネオコーポラティズムとは、利益集団が頂上団体に集約され、頂上団体同士が政府機関と協調して政策を決定するような政策決定の型である。ここでいう頂上団体とは、業界横断的または業界を包括しているような団体のことである。これに近い現象は、労使協調体制を実現している北欧でみられる。

 コーポラティズムには、政府からの頂上団体の独立性が低い権威主義的コーポラティズム、独立性が高い自由主義的コーポラティズムの区分である。この区分はコーポラティズムとネオコーポラティズムに対応するものである。

 日本でも、審議会などで、行政官庁と主要な利益集団との協議によって、政策決定がなされる機会があり、コーポラティズム的な傾向があるとされる。ただ諸外国と比べ、労働組合の発言権が弱いために、特に労働的コーポラティズムといわれている。

 

多元主義

 複数の集団がお互いに競争関係にあり、それぞれの集団が利益を追求蔓ことで、公共政策の均衡が図られるというもの。アメリカで支配的な考え方。個々人が複数の集団に重複して加入しているため(重複メンバーシップ)一つの集団の利益だけを主張できないから、各集団の要求は穏健的なものになる。また、一つの利益集団の力が強くなると、それに対抗できる利益集団が登場し、利益集団間でチェックアンドバランスが働く(ガルブレイズの対抗権力)



政治的無関心

  政治問題全般について、積極的な反応や消極的な反応のいずれも示さないことを政治的無関心という、政治的無関心の増大は、民主主義の危機的兆候であるが、政治への過剰参加による統治能力低下によって民主政治の聴きにつながるとの見解もあり、一定の政治的無関心の存在が政治的安定につながるとされている。

 

・ラズウェル

ラズウェルは、政治的無関心を、紛争状態からの引退と定義した上で、3類型。 

①  脱政治的態度

かつて政治に関与したものの、自己の期待の充足ができず、アウィジに幻滅を抱き、政治に対して関心を示さなくなる場合。

 

②反政治的態度

無政府主義者にみられ、自己の世界観と相容れない政治的価値そのものを否定してしまい、政治に参加しようとしない

 

③無政治的態度

政治全般に興味関心が薄い場合。スポーツや芸術といった政治以外に関心を持っている。

 

・リースマン

政治的関心について2類型

①伝統的無関心

善近代社会において、政治は身分によって限られた少数者によって独占されていたため、多くの人々が一般的に政治的に関心を持つことが阻まれている

 

②現代的無関心

現代社会において、政治参加の機会が保障されているにもかかわらず、それを知りながら拒否し、政治情報を持ちつつもそれを受け付けようとせず、政治的責任を知りながらそれを果たさない政治的無関心である。

 

夜警国家福祉国家

 夜警国家は、市民革命後に成立した教養と財産を持った市民が社会の中心となった国家形態。絶対王政期は、国家権力が市民性軽のあらゆる分野に介入し多くの税金を徴収した。革命に成功した市民は、[国家は必要最小限の治安と国防の役割のみを果たせばよく、自由放任主義であること]を理想とした。このような形態を、ラッサールは、夜警国家と読んだ。また国家が担う役割の小ささから小さな政府、自由放任的であることから消極国家ともいう。また、立法府統治機構の中心であることから、立法国家ともいう。

 福祉国家は、20世紀に入り、世界恐慌普通選挙制の実現によって誕生した国家形態である、資本主義経済の発展は、貧富の格差の拡大などの社会問題を生み出した。また、普通選挙制の実現にとい、このような社会への不満を抱く大衆がこれまでの市民に変わって政治を担っていくようになる。こうして、社会保障政策の充実が図られることで格差を縮小していくことを目指す国家を福祉国家という。また国民生活に政府が介入してくことから積極国家、行政府が統治機構の中心であることから行政国家ともいう。

 

社会契約説

 国家の起源に関する代表的諸説として社会契約説がある。

 社会契約説は、自然状態・自然権自然法などの概念を用いて国家の起源や政治のあり方を論じる議論であり、市民革命後の17〜18世紀のイギリスやフランスで展開された。社会契約説では、まず国家が誕生する前の状態を自然状態という。自然状態において人間が持ちうる権利を自然権とよび、自然状態において実体法は無いが、人間が守るべき法として自然法が存在する。

  

 ホッブズは『リヴァイアサン』において、人間は利己的な存在であり、その人間が持つ自然権を自己の生命を保持できる権利とした。自然状態においては、各人は自己の生命の保持のために他者の生命を脅かすので「万人の万人に対する闘争」状態である。このように、自然状態は危険であるので、各人は契約をかわすことで、安全の確保に努めようとする。各人は、主権者に自然権を全面譲渡し、主権者は権力によって人民を保護する。ホッブズは、再び戦争状態に陥ることを防ぐため、一度主権者に自然権を譲渡すれば、それを人民に戻すことはできない、つまり人民の抵抗権を認めていない。ホッブズピューリタン革命期の思想家であるが、彼の理論は、絶対君主制への擁護になるとの批判がある。

 

 ロックの『市民政府二論』では、自然状態は一応自由で平等な状態である。しかし、自然権の一つである所有権を巡って戦争状態への転化を防ぐため、自然権の一部を譲渡する社会契約を結んで政治社会を形成し、その政治社会に統治機構を設立し、権力を信託する。統治機構が神託に反した場合、抵抗権を行使できる。

 

 ルソー『社会契約説』では、自然状態は自由で平等な理想状態である。しかし、文明の発達が、社会の不平等をもたらした。この不平等を克服するためには、人民が特殊意思を抑えて、公共の福祉を目指す一般意志に従って、国家と社会契約を結び、社会を作り直すことが必要であると考える。

 

三権分立

 近代国家の基礎原理として、権力分立がある、権力分立とは、権力を分散させて、権力の抑制を図るものである。権力分立は、君主がすべての権力を一人で掌握していた絶対君主制を打倒した、イギリスの市民革命での主張に見られるように、権力を行使するものに対する不信から生じたものである。したがって、権力分立は、個人の権利自由の保護という観点から自由主義的思想から生じたものである。

  権力分立は、法律を制定する立法権、法律の解釈によって個別の紛争解決を図る司法権、法律を執行する行政権の3つの権利から成るため、三権分立ともいう。

 

 ロックは『市民政府二論』にて、三権分立を提唱する。具体的には、国家権力を立法権と執行権に分離し、執行権については、他国と外交を行う連合権に分割した。執行権は現在の司法権と行政権にあたる。さらに、立法権を最高権力とし、多数決による議会の成立を主張した。また、執行権と連合権は君主が担う。

 

 モンテスキューは『法の精神』において、立法権・行政権・司法権三権分立を主張した。三権は平等であり、チェックアンドバランスを強調した。この主張はフランス人権宣言やアメリカの大統領制に影響を与えている。

 

功利主義

功利主義とは、行為の善悪を、快楽や幸福をもたらすかによって判定するものである。

 

ベンサム

 人間は、苦痛を酒、快楽を追求しようとする。そしてその行為の結果に置ける快・苦の増減によって、行為の善悪が決定される。また、人間は利己的な存在であるが、結果における最大多数の最大幸福を目指すという点で、個々人は社会的に結びつく。また、快楽は計算可能で、質的に差異がない。量的功利主義と言われている。積極的な立法政策を主張した。

 

・ミル

 ベンサム功利主義を受け継いで、これを発展。「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した愚者であるより不満足なソクラテスである方がよい。」快楽の質的差異、快楽計算不可能であるとした。質的功利主義。私的な領域に対する政府の介入は、それが他者へ危害を加えるときに限り許容される(危害原則)。



福祉国家

 福祉国家とは、社会保障政策を通じてコック民の福祉を積極的に推進する国家であり、国民の最低限の生活水準(ナショナルミニマム)を保障する国家である。福祉国家という概念は、WW2中イギリスにおいて、ナチスドイツへ対抗するために用いられたのが起源。イギリスのベバリッジ報告によって「ゆりかごから墓場まで」といわれる社会保障社会権として確立した。

 

 福祉国家成立要因については、ウィーレンスキーは、経済水準や政治体制の類型などの要素と社会保障の対GDBとの関係を分析した。そして、長期的に見れば、その国の国家体制は関係なく、その国の経済水準や社会福祉水準が根本的要因になっている。

 

 エスピンアンデルセンは、『福祉資本主義の3つの世界』で、脱商品化と階層化という2つの指標を用いて、福祉国家を類型化した。

・脱商品化とは、労働力の商品としての性格の強弱を測る指標

・階層化とは、すべての市民が福祉政策を手厚く受けられるかどうかを測る指標

脱商品化低く、階層化高い=自由主義型 アメリ

脱商品化高く、階層化低い=社会民主主義型 スウェーデン

脱商品化高く、階層化高い=保守主義型 ドイツ

自由主義型と保守主義型の混合型は日本

 

 

 以上

行政学

 行政法を勉強しているなら行政学選択がおすすめです。設問の難易度を見る限り、知識を問われる程度なので、行政法の知識が頭に入っていれば、完全回答は準備しなくても太刀打ちできると思います。

 

 

 

 

◆ギューリックの組織理論

  「公的行政であれ、私的行政であれ、行政の科学における基本的善は能率である」とし、この能率論を機械的能率論という。

 

  ギューリックは正統派行政学の学者であり、執政権の強化に役立つような行政管理論の確立を目指した。この背景には、ニューデール政策があり、ルーズベルトの任命したブラウンロー委員会に参加した。ギューリックは、能率的な行政の実現のために、管理職の職務について論じている。ブラウンロー委員会の報告書にある論文『組織理論に関する覚書』は執政長官の職務について論じている。執政長官の職務は、『POSDCORB』という言葉で理論化されている。ギューリックは、この管理職の職務を最大限に果たすための補佐機関の創立を主張し、大統領府の設置を提言した。大統領府は、ラインスタッフ理論に置けるスタッフに当たるものである。ギューリックの提言を受けて、大統領を補佐し、POSDCORBを補佐する機関として大統領府が設置された。

 

 POSDCORBとは、P計画・O組織S人事D指揮Co調節R報告B予算の頭文字を撮ったものである。この理論は、ファヨールの影響が見られる。

ファヨールは管理理論を体系化し、管理を計画、組織、指揮、調整、統制の5要素と定義した。



◆NPMと日本の行政改革

NPM

 「NPM」(New Public Management)は、新自由主義的な価値に基づくもので、

1980年代以降、欧米を中心に拡大。公共政策においても、民間の経営手法を応用して公共サービスを提供しようとするもの。競争原理、古曲主義、結果主義の概念を導入して、サービスの向上や効率化を図る。

 

・民営化

 中曽根内閣は、日本国有鉄道JR日本電通電話公社NTT日本専売公社JTの民営化を実行した。(完全に民営化したのはJR東日本西日本東海、JTNTTは株式の多くを民間に売却した特殊会社

小泉内閣は、道路公団と郵政の民営化

 

・エージェンシー化

 エージェンシー化とは、企画担当部門と実施部門とを分離し、実施部門を担う組織に権限を移植することを基本としている。独立行政法人(エージェンシー)が担当できるのは、政府部門が多なっている既存サービスのうち、継続してサービスを提供する必要があるもので、民営化や民間委託に馴染まないものとされてきた。そして、実施部門については事前抑制を緩和して、弾力的な運営を確保する一方、業務内容を明確にし、目標設定に応じた行政評価を行うなど、成果重視の仕組みを導入することで、業務運営の効率化を図っている。

 

・市場テスト(官民競争入札制度)

  「民間でできるものは民間に」(アウトソーシング)の観点から、公共サービスの提供を官民競争入札によって決定する制度である。日本においては、公共サービス改革法によって、市場かテストが導入され、入札対象は、官民競争入札管理等委員会が定める。

 

行政改革

 行政改革は、行政の機構・人事・予算・管理手法などに関する諸改革の総称で、日常的な制度の見直しと長期的な視点にたった基盤的制度の改革のことである。内閣制度、政治家と官僚の関係の改革も含んでいるため、行政改革は政治改革の意味も含む。

 

 日本における行政改革としては、第一次臨時行政調査会(第一次臨調)が設置された。第一次臨調の特徴は、首相のリーダーシップの強化や内閣の調節機能の拡充に重点をおいている。その答申の内容は具体的には、予算編成を大蔵省から新たに設置される内閣府へ移管し、内閣府には内閣補佐官を置くこと、中央省庁の局の整理廃統合が勧告された。さらに、中央地方関係は、中央が企画機能であり、地方は実行機能であり、積極的に機関委任事務を用いるべき。その結果、1省庁1局削減であったが、これ以降、スクラップアンドビルドが確立され、新しく部局を増設するときは、同じ数だけ削減して、純増を防ぐ。

 その後、第二次臨時行政調査会(第二次臨調)では、第一次臨調をモデルにしながらも、「国際社会に適応」「活力ある福祉国家」の理念のもと増税なき財政再建がスローガン。

具体的には、三公社の民営化・予算のマイナスシーリング、プラスシーリングなどの財政政策。

 その成果として、中曽根内閣は、日本国有鉄道JR日本電通電話公社NTT日本専売公社JTの民営化を実行し(完全に民営化したのはJR東日本西日本東海、JTNTTは株式の多くを民間に売却した特殊会社)、財政のスリム化を主眼とした行政改革をし、NPM型の行政改革と呼ばれる。

 

 

オンブズマン制度

オンブズマンとは、行政への苦情の処理を、市民に近い立場で行う苦情調査官のこと。

オンブズマン制度は、19世紀初めにスウェーデンにおいて初めて設置され、オンブズマンが国民の行政に対する苦情を受け付け、中立的な立場からその原因を究明し、是正措置を勧告することにより、簡易迅速に問題を解決するもの。

 オンブズマンは、議会設置型(アメリカ、イギリス)と行政設置型(フランス)がある。

 日本では、地方レベルで、川崎市川崎市市民オンブズマン条例、オンブズマン制度(行政設置型)が初めて導入された。国レベルでは、まだ導入はない。しかし総務省に、オンブズマン制度研究会が設置され、国会の同意後、内閣総理大臣からの任命で議会設置型オンブズマンの設置が提言された。なお、行政相談委員は、行政サービスへの苦情相談を受け付ける民間人で、総務省から委託された人なので、オンブズマンではない。



◆情報公開制度 

 情報公開制度とは、政府が保有する情報について、請求者からその開示を求める請求を受けたとき、原則としてこれを開示する義務をおうものとする制度。この制度は、スウェーデンで生まれ、その後アメリカ・カナダへ波及。日本では、初めて自治体レベル(山形県金山町、1984年4月)で情報公開条例が制定。モデルとなったのは、アメリカの情報公開法や会議公開法である。その意義は、国民主権の意義にのっとり、行政文書の開示請求を定めることで、行政文書保有の情報のより一層の公開を図り、政府の諸活動を国民に説明する義務を果たすようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下で公平で民主的な行政の推進に資するため。


 日本の情報公開制度の内容について、外国人を含む、何人でも公開請求することができ、対象となる機関は、警察・防衛関係機関を含むすべての機関、会計検査院である。

 公開文書は、職員が作成取得した文書図画ビデオテープなどの電磁的記録である。そして非公開情報の範囲は、個人に関する情報で特定の個人を特定できるもの、防衛・外交・捜査・治安などの情報で、行政機関の長が認めるのに相当の理由があるもの、非公開を条件に提供された法人情報である。

 公開内容や非公開決定に不服がある場合は、行政庁に申し立てできる。これを受け、行政庁は情報公開・個人情報保護審査会に諮問する。また高等裁判所の所在地にある地方裁判所に不服訴訟を提訴する。なお、行政機関個人情報保護法は国のみ対象(短答ひっかけ選択肢)。

 

特定秘密保護法

日本の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿にする必要があるものについて、その漏洩の防止を図り、もって国民の安全を確保するために、成立した。

 

公文書等の管理に関する法律

行政文書等の適切な管理、歴史公文書等の適切な管理保存および利用を図り、もって行政の適切かつ効率な運営を目指すとともに、現在・将来に、国民に対して国及び独立行政法人の活動を説明する資格が伴うようにすることを目指した。



地方分権改革

 日本における地方分権改革として、1990年代に地方分権推進運動が展開された。1995年には、地方分権法が制定され、地方分権推進委員会が発足し、1996年には地方分権推進委員会は機関委任事務を廃止し、特に重要な事務に関しては法廷委任事務とする方向を打ち出した。そして、1999年に改正された、地方自治法が交付された。

 機関委任事務とは、都道府県知事や市区町村長を国の行政機関として見立てて、国に帰属する事務を都道府県知事や地方村長らに行わせる仕組みである。

 国・都道府県・市町村という行政主体の次元では、平等・協力関係が原則であるが、ここでは、国の機関委任義務を処理する限りでは、首長は主務大臣の下級行政機関として位置付けられる。それゆえ、国の自治体に対する関係を平等な関係にするために、機関委任義務の廃止と、国の自治体に対する関与の縮減および公平透明化が課題となった。そして、地方分権一括法により、機関委任事務が廃止され、地方自治体の処理する事務は、自治体事務と法的委任事務の2種類になった。

 法定委任事務とは、本来国が果たすべき役割の事務であって、国においてその適切な処理を特に確保する必要があって、法律または政令に特に定められたもので、地方自治体が受託する事務である。

 法定受託事務は、あくまでも地方自治体の事務であり、国の法令によって国から地方自治体に振られたものである。したがって、法定受託事務にも地方自治体の条例制定権が及ぶ。

しかし、主務大臣の地方自治体に対する関与は否定されていない。

ただし、国が自治体の事務処理に関与する場合は、自治体の自主性や自律性を配慮した必要最低限のものでなければならない。自治事務には、積極的な定義がされていないため、法定受託事務でないものが自治事務である。

 

◆内閣制度の3つの原則

①首相指導の原則

内閣総理大臣が大臣の任命権を有する首長、罷免するときは閣議の必要はない

 

②分担管理の原則

各省の行政事務は、その主任の大臣が分担管理する。これにより、各省の掌握事務の分担が徹底され、セクショナリズムが生じた

 

③合議制の原則

内閣の職権に属する事項は、閣議にはからなければいけない。慣例として、全会一致を原則とする。



◆行政権

 行政権は内閣に属する。そしてこの内閣の下に、行政機関が置かれる。ただし、会計検査院憲法上、独立の行政機関としての地位を有する。これらの行政機関の指揮は、憲法はもとより。内閣法、国家行政組織法、各省設置法に基づく。内閣は総理大臣および原則14名以内の国務大臣により成る合議制の機関である。国務大臣は、主任の大臣として行政事務を分担管理するのが原則であるが、分担しない大臣を置くこともできる。内閣には内閣府が設置され、内閣の事務を助けるために内閣官房、別に必要な機関として人事院内閣法制局安全保障会議が設けられている。

 内閣、内閣総理大臣、各省大臣は議院内閣制において執行機関となる。内閣の法案提出権、内閣総理大臣国務大臣の任命罷免権、各省大臣は主任大臣としての指揮監督権によって、統制を行う。

 

明治憲法下の内閣

行政権は、国務大臣の輔弼(ほひつ=助けること)によって天皇が自ら行うという原則に立ち、内閣は、本来、国務大臣天皇を輔弼するについて協議するために設けられた組織体であり、同時に、国務大臣が諸施策を決定し、行政上の方針を統一するために協議する場でもあった。

 

会計検査院

 会計検査院は、(1)決算の表示が予算執行等の財務の状況を正確に表現しているか(正確性)、(2)会計経理が予算、法律、政令等に従って適正に処理されているか(合規性)、(3)事務・事業の遂行及び予算の執行が、より少ない費用で実施できないか(経済性)、(4)業務の実施に際し、同じ費用でより大きな成果が得られないか、あるいは費用との対比で最大限の成果を得ているか(効率性)、(5)事務・事業の遂行及び予算の執行の結果が、所期の目的を達成しているか、また、効果を上げているか(有効性)等といった観点から検査を行う。なお、経済性、効率性及び有効性の検査は、それぞれの英語の頭文字が「E」であることから、総称して「3E検査」と呼ぶ。

 

 

◆ギルバートのマトリックス 

行政責任を確保するためには、行政統制が必要となってくる。

行政統制の方法は、ギルバートによって分類されている。

ま誰が行政を統制するかに応じて、内在的・外在的統制に区分し、

そしてとウッ生の手段に法的・制度的根拠があるかどうかによって、制度的統制・非制度的統制に区分する。

 

・外在的統制+制度的統制

→議会による統制、裁判所による統制、執政機関による統制

 

・外在的統制+非制度的統制

→専門家集団の評価、圧力団体の行動、情報公開請求、マスコミの報道

 

・内在的統制+制度的統制

会計検査院の検査、審議会の投信、総務省政策評価、上司の職務命令

 

・内在的統制+非制度的統制

職員組合の要求、同僚職員の評価

 

 内在的か外在的の区分は、例えば、各省庁を組織単位とすれば、財務省による統制は外在的であるが、行政組織全体とすれば内在的ともいえる。

 

 

◆サイモンとリンドブルム

  政策過程の一段階である、意思決定の段階は、立案された政策案について制度上の権限を有する機関が、その政策案を審議し決定する段階である。

 意思決定の基本的な流れは、目標設定→選択肢の探求→結果の推定→評価→選択肢の中から一つを選ぶ、であるが、このプロセスに対して、合理的選択の理論とインクリメンタリズムという異なるアプローチがある。

 

・合理的選択の理論

合理的選択の理論は、意思決定の作業を合理化し、価値実現の最大化を要求する理論である。そのため、合理的選択の理論のことを批判的に、サイモンは最大化モデル、リンドブロムは総覧的決定と呼んだ。

 

・サイモンの充足モデル

合理的選択の理論に対する批判として、充足モデルを提示した。

人間は限られた合理性しか持っていないので、すべての代替案、行動、それに伴う結果を比較して最良の選択肢をとることはできない。それゆえ、ある程度の目的を達成できる水準に達することができれば、代替案の探求はやめても満足することができる。

このような限られた合理性しか持たない人間を行政人モデルと呼び、その選択基準を満足化基準という。組織には、限られた合理性を持つ人間しかいないので、組織の目標は、最適化基準より満足化基準となる。

 

・リンドブロムのインクリメンタリズム

人間には、認識力の限界があること、すべての価値を唯一の基準で比較することはでいないこと、意思決定に必要な情報をすべて収集し分析することは不可能であることをあげ、合理的選択の理論を批判し、インクリメンタリズムを提唱した。

インクリメンタリズムとは、予算編成の過程で、前年度予算をベースに新規の増分について厳しい査定を行うことがその特徴であり、想定しうる政策案を網羅的に取り上げて検討することもなく、抜本的に課題を解決しようとすることもない。

 

 

◆アリソンモデル

  政策とは、政府が追求するべき目標とその達成方法である。具体的には、法律・条例・規則・予算など。

 政策が決定される過程は、政策過程と呼ばれ、①政策の課題設定→②政策作成→③政策決定→④政策実施→⑤政策評価の流れである。

 

①政策の議題設定の段階は、様々な社会問題から政治的な課題として取り上げられるべきものを選定して、検討対象とする段階であり、アジェンダセッティングともいう。この機能は、政府の諸機関、圧力団体、政党、マスコミ、外国政府などが担う。

 

②政策作成の段階は、政府の検討対象とされた課題に対する、いくつかの適切な政策案を準備し、これらのうち、どれが技術的経済的に有効で能率的かといった視点から分析し、最善の政策案を選択する段階である。この機能は、政党と行政機関によって担われている。

 

③政策決定の段階は、立案された政策案について、制度上の決定権限を有する機関が、その政策案を審査・発議・決定する段階である。

政策決定の権限は、国会、内閣、大臣などの政治機関が担う。

 

④政策実施の段階は、公的に決定された政策が、行政担当者によって実施される段階である。この機能は、行政に独占されてきたが、近年警察機能の一部や介護領域で民間団体が参入するようになった。

 

政策評価の段階は、行政活動を通じて実施された政策の効果が、政策目標として規定されていた一定の価値を、実現したかどうかを評価する段階である。(目標は、価値の実現。それを実現したかどうか。)政策評価は、どのような評価基準で評価するのかが重要である。

アリソンは『決定の本質』で、キューバ危機に米ソ両政府の政策決定がどのようになされたのかを分析し、合理的行為者モデル、組織過程モデル、政府内政治モデルに分類した。

 

 合理的行為者モデルは、政策決定において決定主体を単一の行為者とみなし、その組織は、明確な目標を持っていて、それを実現するには合理的な政策決定を行うとされる。

  組織過程モデルは、組織を下位組織の緩やかな連合体とみなし、下位組織がそれぞれ割り当てられた任務を、その他の下位組織のことを気にせずに、決められたルールに則り遂行した結果として政策決定が行われる。

  政府内政治モデルは、組織を役職者の集合体とみなし、与えられた任務を最大限に実行することを目標とし、役職間で駆け引きされた結果、政策決定されたものである。

  合理的行為者モデルよりも、組織過程モデルや政府内政治モデルの方が、現実的である。

 

 

◆スポイルズシステム

 猟官制(スポイルズシステム)とは、公職の任命を党派的な情実で定める政治的習慣で

情実任用制(パトロネージシステム)の一種である。

 ここでいうスポイルズシステムとは、ある上院議員の演説のなかの「敵の獲物は勝利者のものになる」という主張に由来している。つまり、これは公職にある者が、自分の支持する政党のために政治的活動をすること、そしてその政党が選挙で敗れればその地位から奪われることを意味する。

 

 アメリカでは、7代大統領のジャクソンが初めてスポイルズシステムを連邦政府の中に取り入れた。彼は、すべての公職の仕事は簡単であり、誰でもそれを行うことができるため、特定の人が公職に長くとどまることで、特権的官僚集団が形成されるより、スポイルズシステムの方がいいと考えた。しかし、スポイルズシステムによる任命の第一条件は、党への忠誠度、貢献度であり実際の公務を遂行する能力の有無は関係ない。そのため、南北戦争後、スポイルズシステムの批判者たちは、スポイルズシステムが連邦政府の行政の非効率と腐敗の原因となっているとした。

 そして、スピイルズシステムの改良が課題となった19世紀後半、上院議員のペンドルトンは、メリットシステム(資格任用制)と政治的中立性を柱とする、連邦公務員法の審議過程で推進役をすすめ、同法はペンドルトン法と呼ばれる。

この法律は、専門職として指定された公務員については競争試験によって適任者を任用すること、それを実施するための連邦人事委員会を設置した。



◆昇任制

 開放的昇任制とは、職階制が貫徹されており、外部から人材を中途採用することが多い公務員任用制度で、スペシャリスト志向の任用制度である。職員の昇進については、その保有する資格によって昇任できる候補者が限定されている。ex)アメリ

  閉鎖的昇任制は、職階制が貫徹されておらず、職員の採用は学校卒業時の入り口採用に限られていて、執務経験を積ませることで職員の職階を上げていく公務員任用制度で、ジェネラリスト志向である。

 開放的昇任制よりも、研修が充実している、終身雇用制・年功序列を基本としているので、組織の壁を超えた労働力異動や官民間の異動はあまり想定されていないことが特徴。ex)ヨーロッパや日本

 

 近代的な公務員制度は、専門能力に基づく資格任用制を基本とするが、多民族国家では、行政官僚制野職員構成に全国民の民族比率を反映される配慮がなされることがある、これを代表的官僚制という。アファーマティブアクション(積極的格差是正措置)の一種。代表的官僚制では、行政官僚は中立的な公務員としてではなく、自身の民族の利益の代表者として機能することが期待される。

 

 

◆ファイナー・フリードリッヒ論争

 行政責任とは、官僚制ないしそれを創生委する行政官の責任である。行政責任についての議論として、最も重要なのが、ファイナー・フリードリッヒ論争である。これは、1930年代から1940年代にかけて、行政責任の在り方をめぐり、ファイナーとフリードリッヒとの間で行われた論争である。論争の背景には、一方において議会主義の危機、代表制の危機があり、もう一方においては行政権の肥大化、行政裁量の増大に伴う統制の危機があった。

 

  ファイナーは政治行政二論の立場から、行政官はあくまで選挙された国民の代表社(議会)に対して責任を負うべきであり、行政官の行動方式は、国民の代表者たちが技術的に可能な限り最大限詳細に決定するべきであるとした。そして、責任には、X(代理人・行政機関・行政官)がY(任務)についてZ(本人・議会)に対して説明をすることができるということを意味する責任(外在的責任)と、個人的な道徳義務感を意味する責任の2つの定義があり、民主制は主に前者の意味を体現した者であり、独裁制は主に後者の意味の責任を体現したものである、と主張した。そして、民主政府における行政責任は、議会に対する外在的な政治責任でなければならず、道徳義務への内在的・個人的感覚だけでは民主制は成り立たないとした。

 

 フリードリッヒは、行政の専門化のために議会による統制には限界があるとして、政治行政融合論の対立場から、行政官はその担当分野の専門的・科学的知識に精通し、それに基づいて適正な行政執行を確保する責任(機能的責任)の自覚と、住民の要求・ニーズに直接対応する責任(政治的責任)の自覚の2つをあわせ持つことが必要であるとした。そして、機能的責任を果たすためには、専門家集団にとよる非制度的な行政統制が有効であると主張した。

 

以上