論述試験ノート

コピペして来年の公務員試験に使ってください。執筆者は、本番前までに全暗記して臨みました。頑張って!

社会学

 専攻科目ではなかったので、ハードルが高い科目だと感じ、過去に出題したテーマを中心に準備していきました(ですので、短答の勉強は捨てました)。政治学と重複する部分も多く、政治学とセットで勉強すると良いと思います。

 

 

 

Ⅰ.過去問答案

平成31年】マ一トンのアノミー論について、五つに分類される個人的適応様式に言及して説明せよ。

 →【平成13年】参照。

 

【平成30年】マッキーヴァーによる社会集の類型を二つ挙げ、それぞれ説明せよ。なお、両者の関係についても言及すること。

 →【平成10年】参照。

 

【平成29年】ラザースフェルドによるマス・コミュニケーションの3つの機能について、それぞれ具体例を挙げて説明せよ。

 →【政治学】の《マスメディア》のトピックを参照。



平成28年】家族の機能について、マードックの説を中心に説明せよ。なお、パーソンズの説についても言及すること。

 →【平成18年】参照。

 

平成27年】スペンサーの社会進化論について説明せよ。 

 →【平成23年】参照。

 

平成26年】社会的自我に関するG.Hミード及びC.H.クーリーの理論について、それぞれ説明せよ。

 1.ミード

  社会的自我とは、社会化された自我を指す。ミードは、自我の形成を役割取得過程に求めた。役割取得とは、他者の態度の内面化のことであり、内面化に伴って客我(me)が形成される。客我とそれを反省的に吟味し、乗り越えようとする主我(I)とのダイナミクスな関係によって社会的自我が発展していく。

   具体的には、①プレイ段階②ゲーム段階③一般化された他者、の3つの段階を経て発生する。

 

 ①プレイ段階:ごっこ遊びによって親など有意味な他者の役割を理解する段階。

 ②ゲーム段階:野球など、ルールがあるゲームで集団全体の中に位置づけられた自分の役割を理解する段階。

 ③一般化された他者:役割取得の対象となる他者の範囲が広がり、複数の他者の役割を取得できるようになること。これを取得すると、個人は自分がどのような行為をすれば良いかを知ることができる。

 

 2.クーリー

  クーリーは、「鏡に映る自我」という概念を提唱した。これは、自我が、他者との相互関係を行う過程を表現したもので、

 ①他者が自分をどう思っているのかを想像する

 ②その自分像に対して他者が下す判断を予想する

 ③その判断に対して自分が反応する

 この流れを伴う。

 

   クーリーは、他者という鏡を通して自分を見ている(=自我)。この過程を経て、自我は社会性を得て、社会的自我を発達させていく。

【平成25年】バージェスの同心円地帯理輪について、同心円地帯理輪に対するホイトの主張や、ハリスとウルマンによる批判にも言及して説明せよ。

 1.バージェス

  都市の生態的なモデル構造として同心円地帯理論を提唱した。

  都市とは、都市地域を中心として、遷移地帯・労働者住宅地帯・住宅地帯・通勤者地帯が形成され、放射線状に拡大する傾向がある。また、それぞれの内部地域が接続する外部地帯に侵入する形で拡大していく。

 

 ①都市地域:非居住者地域、人が少ない、ビジネス街(百貨店・美術館・市役所・オフィスビルなど)

 ②遷移地帯:土地利用が不安定な地域。移民や低所得者流入、治安悪い、スラムがある

 ③労働者住宅地帯:中の下階層社会、ブルーカラーが住んでいる住宅街

 ④住宅地帯:専門職、事務職のホワイトカラーが住んでいる住宅街

 ⑤通勤者地帯:上流階級が住む住宅街

 

 2.ホイト

  同心円地帯理論の都市構造は理論型なので、これを交通網の概念を入れて修正したものが扇形理論。家賃を指標に、都市居住地域の分布状態を調査し、その結果は低中高家賃グループが都市部と要に鉄道路線に沿って、扇方に住宅地を形成している。

 

 3.ハリスとウルマン

  多角的理論を提唱。大都市においては、中心業務地区の他に、複数の核心が発達し、それらの核心の周りに、特有の機能を担う地域が形成される。同心円地帯理論と扇形理論を批判する。

平成24年】デュルケムの主張した社会的事実について述べた上で、デュルケムの自殺論について説明せよ。

 

  デュルケムは「社会的事実」を「もの」として扱い、これを社会学の限定された対象であるとした。これが、社会的事実をものとして扱うことの目的であった。

  自殺論については→【平成13年】を参照。

 

平成23年】コントによる社会静学及び社会動学について述べた上で、コントの三段階の法則を説明せよ。

 1.コント

 コントの社会学は、社会静学と社会動学によって区分される。社会静学は、秩序の理論とも言われ、社会の諸部分を研究する、社会有機体説ものいう。社会動学は、進歩の理論とも呼ばれ、時間の経過と共に社会の発展を研究する、三段階の法則が提唱。

 

 ・三段階の法則

  時間と共に、人間精神が発展して、それに対応して社会も発展する。

 

 人間精神は、はじめは超自然的な能動者を擬似的に背呈して諸現象を説明しようとする神学的段階にあり、この時社会は軍事的なもので秩序が保たれている。次に人間精神は、超自然的な存在に変えて、抽象的な思惟によって諸現象を説明しようとする形而上学的段階になり、社会は法律的なもので秩序が保たれる。最後は、人間精神は実証的段階隣、科学的知識を用いて現実を観察するようになり、社会は産業的時期になっていく。人間の精神は、説明を絶対的なものに求めるのではなく、相対的なに独立した普遍の法則に求める(実証主義

 

 2.スペンサー

  スペンサーは、コントと同様に社会静学と社会動学によって区分される。社会静学では、社会を、生物有機体とアナロジーによって比較検討し、共通する部分と異なる部分を区別し、分析することで独自の社会有機体説を提唱した。社会動学では、人間の歴史を対象とし、その成長発展の法則を発見し解明することを目的とする。

 スペンサーは、社会動学において、ダーウィンの進化論を社会に応用し、社会進化論を提唱した。社会が量的に増大すると共に、分化と集約が生じ、不明確で同質的な軍事的社会から、明確で異質的な産業型社会へ移行する。

 

 3.ジンメル

  ジンメルは、コントとスペンサーの社会学について「諸科学の全体を一つの壺の中に入れて、社会学という新しいレッテルをはりつけただけで何にもならない」と批判した。社会学が一つの学問として成立するためには、社会学固有の対象が必要であるとした。

 社会を、個人を超越したものと捉えて個人には還元しないものとする(社会実在論)も、個人のみが存在し、社会の存在を認めない(社会唯名論)も、共に問題があるとし。社会を個人の相互作用による副産物であると規定した。そして、人と人との相互作用は「心」を通じて行われることから、ジンメルは心的相互作用に注目して社会学を捉え直した。

 ジンメルは、心的相互作用の内容に関しては、すでに諸科学が解明しているとし、その形式を研究対象とした。そのため、形式的社会学と言われる。そして、企業や学校などの集団が違ってもの、上下関係・競争など共通の社会化の形式が見られると指摘した。

 

 ・論争理論

  ジンメル社会学において、論争理論の先駆的研究者である。

 

  彼は、社会化の一形式である闘争は、それ自体はすでに対立する者の緊張感を高めたり、対立する集団の内部的結合を高めたりするとした。

 

【平成22年】パーソンズAGIL図式について説明せよ。

  パーソンズは社会体系を分析したが、社会体系維持のために必要な4要素を提起した。A adaptation 適応G goal attainment 目標達成L integration 統合I latency 潜在性  いかなるシステムも、外部環境に適応しながら(A)その目標や目的に向かって(G)結束して(I)いく。また、それらのやり方(パターン)を維持するための潜在的な働き(L)が必要である。

 

 これを全体社会のシステムに当てはめてみると、状況に適応するために必要な資源を手にいれる手段である経済がA、目標を達成するために様々な意思決定をする政治がG、社会成員をまとめていくコミュニケーションがI、これらの背後にあって、そのやり方を維持していくための文化や教育がLということになる。

 

 これら4つの分野は全体社会のシステムの中でそれぞれの機能を担いながら、それ自体もまたシステムであるので下位体系(サブシステム)と呼ばれる。よって経済システムや政治システムの中にもさらにAGILそれぞれの機能があるのである。 

 

【平成21年】テンニースによる社会集団の類型について説明せよ。

 →【平成10年】参照。

 

【平成20年】ギデンズの構造化理論について説明せよ。

 1.ギデンズ

  社会学の一般論として、構造化理論を提唱した。そして、構造とは、「社会システムを再生産するための、個人が依拠するルールとリソースである」と定義した。つまり、行為者は、構造を参照し行為するが、同時に行為の実践によって構造が形成されていく。構造が行為の条件と同時に、行為の結果である。このような相互関係を「構造の二重性」という。

 構造理論は、パーソンズの構造-機能主義や、レヴィストロースの構造主義と、シュッツの現象学的社会学との対立を克服した。

 

再帰的プロジェクトとしての自己 ギデンズは、再帰的プロジェクトとしての自己論を展開。現代社会では、私たちは耐えず何者なのかを問われ、それに応えるために自分の生活史をふりかえり、再構成することが求められる。このような自己のあり方を、再帰的プロジェクトとしての自己という。 

 

2.パーソンズ 社会体系を「構造-機能分析」によって分析した。 構造-機能分析とは、社会を構成する諸要素について、不変静的のものを「定数」可変動的のものを「変数」と定める。定数を確定する作業を構造分析とし、定数と変数の関係を分析するのが機能分析である。構造とは、相互に承認された役割の体系で、この体系が制度化されることで社会秩序が安定する。

 

 3.レヴィストロース

 構造人間学の立場をとり、未開社会の親族組織や神話研究に構造論的分析を導入し構造人間学を創立した。 

 レヴィストロースの構造概念は、直接的には観察不可能な深層構造を、観察可能な表層構造からの理論的な推論によって概念的に構成しようとするものである。社会関係と社会構造を区別し、社会関係は観察可能な経験的実在であるが、社会構造は社会関係を素材として概念的に引き出された1つのモデルである。

 

 4.シュッツ

 フッサール現象学ウェーバーの理解社会学を批判的に摂取し、現象学的社会学を創造した。現象学的社会学とは、一人の人間が社会をどう経験するのかという、行為者の主観的現象に焦点をあてて、社会を理解するもの。

 はじめに客観的な現実があるのではなくて、私と他者との相互作用によって現実が出来上がる。

 

【平成19年】リースマンによる社会的性格の3つの類型についてそれぞれ説明し、リースマンの社会的性格論の意義についても言及せよ。

 1.社会的性格の3類型

 リースマンによる社会的性格の3つの類型とは、伝統指向型(tradition-directed type)と内部指向型(inner-directed type)と他人指向型(other-directed type)であり、『孤独な群集』において提起した。・伝統指向型:旧来の習慣・道徳を遵守する。

・内部指向型:自己の内部の良心に方向付けられている。

・他人指向型:他人の反応によって方向付けられる。

 

2.社会的性格論

 社会的性格の変遷と社会状況の変化は対応するものである。

 はじめ習慣を遵守していた人々は、急激な工業化による労働力の必要から都市へ移動するようになり、自己の良心に基づいた選択をするようになる。工業化の発展から資本主義社会が成熟すると、サービス業などの三次産業へ移り変わり、他人とうまくやることが求められる、つまり他人の反応によって方向付けられる他人志向型が主流となる。よって、伝統⇨内部⇨他人に移り変わる。同調過剰な他人志向型は信念を持つことなく人に流されやすいので、社会全体を高い水準に導くことはできない。内部志向型は心の内部に心理的ジャイロスコープを備え、他人志向型は心の中に心理的レーダーを備えている。

 

 3.スタンダード・パッケージ(standard package)

 他人指向型社会における消費の基本的パターンを構成する標準化された商品群。たとえば、戦後日本の高度成長期にもてはやされた「三種の神器」(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)や「3C」(自家用車、クーラー、カラーテレビ)は典型。スタンダード・パッケージは、「他人並み」になることを誰もが欲望し、一群の商品の購入に向かう高度成長期のモデルだが、消費社会の成熟に伴い、ボードリヤールが論じた差異化の論理がより強く働くようになる。

 

【平成18年】家族の形態と機能に関するマードックの説を説明し、家族論におけるその意義についても言及せよ。



 1.家族

 家族とは、夫婦関係を基礎として、そこから親子関係や兄弟姉妹の関係を派生させる形で成立してくる親族関係者の小集団である。家族は、感情融合を結合の紐帯にしていること、成員の生活保障と福祉の追究を第一義的目標としている。  

 森岡清美は、家族を、夫婦家族、直系家族、複合家族に分類したが、それを制度ととらえれば、夫婦家族制、直系家族制、複合家族制となる。 

 初めに、直系家族とは、直系敵な世代家族の形成プログラムであり、社会的地位、遺産、祭祀などが跡継ぎによって独占・優先的に継承され、家族の直系的な世代的再生産の基盤となるとともに、親の扶養と家族の社会的地位の世代を超えた保持を容易にし。跡継ぎを確保することとそれ以外の子供を輩出することが重要課題となる家族制度である。かつての日本の家制度において見られる。

  夫婦家族制とは、夫婦一代限りの家族の形成プログラムであり、結婚からスタートし、子どもを産み育てて、子どもたちは自立して親元を離れ、また夫婦だけになり、最後はどちらか片方が残り、残った方の死で終わる家族サイクルを理想型とする家族制度である。遺産は、遺言による指定がなければ子どもかんで均等に分配され、新奥関係は夫方・妻方にあまり偏らない広がりを持つ。夫婦間の均等な権利義務と子どもに対する親の責任が柱となって、子育て家族として民主的な近代家族理念を反映したものである。

 

 2.マードック

 『社会構造』において、250の未開社会(北米・南米・アフリカ・オセアニアなどの種族の人類学データ)を調査した結果、一組の夫婦とその未婚の子供から成り立つ核家族があらゆる家族形態を構成する基本構成(ユニット)として、時代と地域を超えた普遍的存在であると論じた。その際に、核家族の機能を、性・生殖・教育・経済的共同の4機能であるとし、人間にとってこのような本質的機能を果たす社会集団は家族以外には見出せないことを主張した。

 初めに、性とは、婚姻を済ませた1組の男女が性欲求の充足を与えることであり、社会の秩序維持にとって不可欠の事柄である。次に、性生殖とは、性の関係をコンスタントに保つ夫婦に子供が生まれることである。さらに、教育とは、家族で生まれ育った共住・共食、性別に基づく分業である。

 

 3.パーソンズ

 『家族』において、核家族の機能を、子供の基礎的社会化、成人のパーソナリティの安定化の2機能であるとした。子供の基礎的社会化とは、子供たちにその社会で必要とされる諸資質や行動様式を身に着けさせることで一人前の成員に仕上げていくことである。次に、成人のパーソナリティの安定化とは、一定の地位や役割の関係が安定することによって、情緒的な安定が成人にもたらされることである。 

 パーソンズは、核家族がこの2機能を果たしているからこそ、子供は社会へ出る準備が整い、大人は安定した生活を送ることができると論じた。

 

【平成17年】ワースのアーバニズム論について説明し、都市社会学に与えた影響についても言及せよ。

  アーバニズムとは、都市に典型的に見られる生活様式のことである。  ワースは、都市を「人口量が多く人口密度が高く、社会的に異質な人々が集まる集団」と定義。このような都市には都市に見合った生活様式が生み出される。①〜③という3側面にわたる数多くの特質を取り上げているが、おもな特質は次のとおりである。

①生物学的側面:人口の異質性、社会移動が大きく、低い出生率

②社会構造的側面:社会関係における2次的接触の多さ。ホワイトカラーの増加、近隣とのつながりが弱い

③社会心理的側面:個人主義、無関心な態度 

 

 ワース以降の実証的研究からは、彼の説くアーバニズムに対する反証が次々に提示され、都市においても親密な社会関係が維持されており、加えて歴史的、地域的相違が伴うことも十分認識されるに至っている。

 アーバニズム理論の先駆をなすもので、ワース・モデルとして欧米および日本の都市社会学研究の中心概念を構成している。



【平成16年】Mウェーバーの理解社会学について社会的行為の4類型を中心に説明せよ。

 1.理解社会学

  ウェーバーとって、社会学とは、社会的行為を解明しつつ理解し、そうすることによって社会行為の経過や結果を因果的に説明しようとする学問である。

 ウェーバーにとって、社会学の第一の対象は、社会的行為であり、それを分析することで社会や社会諸関係が理解され、因果関係が説明される。

 社会的行為とは、行為者が主観的に理念された意味に従っていること、行為が他者の態度に関係せしめられていること、行為が他者の過去現在未来に期待される態度に方向付けられていることから、単なる行為とは違う。

 社会とは、個人が社会的行為によって他者と関係することによって成立するもの。それゆえ、社会的行為の意味を理解することが第一であるから、理解社会学と呼ばれる。

  理解は、現実的理解と説明的理解に区分される。

・現実的理解:現実的行為を理解するもの

・説明的理解:その行為の動機に遡って説明し、理解すること

 

 2.社会的行為の4類型

・目的合理的行為:目的に向けて手段が功利的に選択される行為、営利行為

・価値合理的行為:結果に無関心に自らの価値観に従って目的をつくり、それに向けて手段が因果的に選択される行為、創作活動

・感情的行為:感情的要因によって引き起こされる行為、衝動的殺人

・伝統的行為:習慣化された手段や目的による行為、あいさつ

 

【平成15年】インフォーマル・グループについて説明せよ。

  メイヨーは、1924年〜32年にかけて、シカゴ郊外にあった電話機メーカーのウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で、照明や休憩、作業時間などの物理的環境の変化が作業の生産性にどのような影響を及ぼすかを調べる実験を行い、ゆえにこれをホーソン実験と呼称している。

 インフォーマル・グループを通しての一体感情や仲間意識が勤労意欲を大きく作用しているということが指摘されている。  まず、インフォーマル・グループについて、フォーマルグループと比較して説明する。 フォーマルグループとは一定の目的を達成するために目的合理的に構成されたフォーマルな組織(経営体・官庁など)内に生ずる第1次集団のこと。たとえば、官庁、経営体などがこれに当たる。

  一方インフォーマル・グループとは、そういった組織の中で、自然発生的に生まれる人間関係のことを指し、例えば友人関係など。

 

【平成14年】大衆社会における権力構造について説明し、中間集団の機能や意義についても説明せよ。

 1.権力構造

 コーンハウザーエリートへの接近可能性と非エリートの操縦可能性という2つの指標を用いて社会を4つに分類した。

エリートへの接近可能性低い・非エリートの操縦可能性低い=共同社会

エリートへの接近可能性高い・非エリートの操縦可能性低い=多元社会

エリートへの接近可能性低い・非エリートの操縦可能性低高い=全体主義社会

エリートへの接近可能性高い・非エリートの操縦可能性高い=大衆社会

 

 2.中間集団

 個人や家族など、諸個人が対面的な関係のなかで親密な関係を結ぶ第一次集団と、国家や全国規模に展開する組織との間の中間にあって、両者を媒介する集団のこと。前者が諸個人の欲求を満たしその生活基盤を支える集団であり、後者が社会全体の秩序維持を司る組織集団であると考えるならば、中間集団とは両者の媒介機能を果たし、比較的多様な諸個人の社会秩序のあり方を可能にしつつ、全体社会の秩序維持に際する権力行使を抑制するという機能を有する。

 中間集団の具体的な例としては、地域、学校、企業、宗教団体などがあげられるが、ミルズ やコーンハウザー は、近代社会における中間集団の衰退を指摘し、特にコーンハウザーは中間集団の衰退が大衆社会の萌芽となることを指摘した。

 

【平成13年】アノミーについて、デュルケムとマートンの説をもとに述べよ。 

 1.デュルケムのアノミー論 

 デュルケムはアノミー(anomie)の概念を初めて提示した。デュルケムは、社会的規範が弱体化したり崩壊したりすることによって、社会秩序が混乱に陥った状態をアノミーと呼んだ。

 デュルケムは『自殺論』において、自殺は、行為者の内面的要因によって起こるのではなく、行為者を包む共通の社会的環境の中にある、彼らは全て同一の方向へ向かわせる何らかの力によって起こると定義する。

 なお、ここでいう自殺とは、死のうと思って死ぬ行為ではなく、死を予知していても、なお死ぬつもりはなく、様々な社会的要因によって結果生命を放棄した行為のことを指す。

 

2.自殺論  

 デュルケムは、自殺を自己本位的自殺、集団本位的自殺、宿命的自殺、アノミー的自殺に分類した。

①自己本位的自殺 社会の凝集度が低下し、個人への自己集中が加速することで、孤独感や焦燥感等をより一層感じてしまうことで自身の生へ理由を認めることができなくなったことに起因する自殺。(例)孤独死

 

②集団本位的自殺 献身や自己犠牲が強調されるような、凝集度の高い社会の中で、個人が社会の中にほとんど埋没してしまい、人間の生が尊重されなくなり、結果発生する自殺。(例)殉職 

 集団本位的自殺は、さらに、義務的集団本位的自殺、随意的集団本位的自殺、激しい集団本位的自殺の三つに分類される。

 ・義務的集団本位的自殺=自殺が義務としてなされる

 ・随意的集団本意的自殺=自殺は矯正されず、任意的な性質を持つ 

    ・激しい集団本意的自殺=自殺そのものが賞賛され、自己犠牲を求めて行なう

 

アノミー的自殺

 社会的規則・規制がない、無規制状態において起こる自殺。

 無規制状態では、より多くの自由が得られることから、個人の欲望も増大するが、次第に個人の欲望は歯止めが効かなくなってしまう。欲望は常に満たされず苦悩が募り続けることから自殺が発生する。不況よりも好景気のほうが、欲望が過度に膨張するので、自殺率が高まると考えられている。 

 

2.マートンアノミー

  マートンアノミーを社会の成員にとって政党な目標とされている。「文化的目標」とその達成手段として一般に承認されている「制度的手段」との間の矛盾ととらえた。 マートンによれば、アメリカ社会では文化的目標である「金銭的成功」は重視されるが、その達成手段である制度的手段の遵守が軽視されることから、アノミーを産みやすいとされた。

 

 また、マートンは、社会の成員のうち上層部は文化的目標に対して制度的手段を選択する機会が多く与えられているが、下層に行くほど、選択の幅は狭まり、アノミーの傾向が強まるとして、社会構造との関連性も分析した。

 さらに、この物価的目標と制度的目標の指標を用いて、個人の適用を、①同調②革新③儀礼主義④頭皮主義⑤反抗に類型化した。そして、社会がアノミー状態に陥ると同庁意外の逸脱行動が発生すると考えた。

①同調:文化的目標を受容し、制度的手段は拒否している類型であり、アノミーではない。

②革新:文化的目標を拒否し、制度的手段は受容している類型であり、ex)強盗。

儀礼主義:文化的目標を受容し、制度的手段は拒否している類型であり、ex)公務員。

④逃避主義:文化的目標を拒否し、制度的手段も拒否している類型であり、ex)ホームレス。

⑤反抗:文化的目標・制度的手段を否定し、新しい目標・手段を受容している類型であり、ex)革命。

 

【平成12年】Eフロムが『自由からの逃走』で論じた、権威主義的性格について説明し、彼の主張が現代的である理由も言及せよ。

  フロムは自由から逃走の中で、ナチズムを分析し、その際用いた概念が権威主義的性格である。権威主義的性格とは、社会的性格(ある集団がもつ性格構造の本質的中核)の一つで、権威をふりかざしたり、権威に従ったりする心的態度のこと。 

 フロムは、ドイツの下層中産階級の社会的性格を権威主義的であるとし、人々がナチズムを支持した原因をそこに求めた。権威主義的性格を持つ人々は、外部的基準によって行動するから、自由であることに耐えられず、そのため自由からの逃走と権威への服従を求める。このような性格が、下層階級や労働階級で多く見られたことから、フロムは権威主義的性格がナチズムの原因の1つと考えた。 

 権威主義的性格はいかに形成されるのか。その原因は、外的権威から自由になったこと。近代以降、人々は権威から自由になっただけでなく、他者からの紐帯からも解放された。その結果、人々は孤独、不安、無気力に襲われ、精神的安定を失うことになった。このような状況下で、心の拠り所を失った人々が権威主義的性格を形成し、新たな権威を求めて、ナチズムを支持するようになる。

 現代においても、外的権威からの自由のみが重要視され、他者との紐帯が希薄になれば、フロムが分析したように、権威主義的性格が社会全体の支配的性格になることも考えられるから、ナチズムや全体主義を回避するために重要なヒントとなる。 

 

【平成11年】社会調査の意義と方法について説明せよ。

    社会調査とは、種々な社会現象を解明するために、フィールドワーク(現地調査)によって、一定の技術・科学的方法を用いて、データを収集・分析・整理する過程である。

 

1.全数調査 対象となる集団の全数を調査する。例:国勢調査

 

2.標本調査対象となる集団の一部分だけに対して調査する 。例:世論調査・市場調査

 

3.質問紙調査

①面接調査法

 調査員が調査対象者と面接し、調査票に従って、質問し、回答を調査員が記入する。回収率が高い。幅広い層の人々から回答が得られる。調査員が口頭で説明するので質問の誤解が起こりにくい。記入もれが起こりにくい.複雑な質問が可能である。 

②配票調査法

 調査員が調査対象者を訪問して調査票を配付し、一定期間内に記入してもらい調査員が再度訪問して調査票を回収する方法である。留め置き法とも呼ばれる。回収率は比較的高い。手元の資料(家計簿や通帳など)を見て記入してもらう調査に向いている。

 ③郵送調査法  

 郵便で調査票と返送用封筒を送り、回答してもらい、一定期日までに調査票を返送してもらう。幅広い地域の調査対象者に調査票を送って調査ができる。無記名にすると。ありのままのことも回答してもらいやすい。

 ④郵送回収調査法

 郵便で調査票を送り、回答してもらい、指定した期日に調査員が訪問することによって調査票を回収する。調査員が回収して回るので、回収率は高い。手元の資料(家計簿や通帳など)を見て記入してもらう調査に向いている。

⑤託送調査法

 既存の組織や集団を利用して調査票を配付し、回収してもらう方法である。調査票に記入するのは、回答者自身である。回収率は高くなりやすい。費用は少なくてすみやすい。

⑥集合調査法

 一定の場所に集合している調査対象者に調査票を配付し、調査員が説明して、その場で回答してもらう方法である。回答率が高い。普段人々が集まって生活し、出席率の良い学校や職場での調査に向いている。

⑦電話調査法

 調査員が調査対象の世帯に電話をかけ、調査対象の相手であることを確認した後、質問を行ない、回答を調査員が記入する。短期間にその時点での人々の意識や意見を調べるのに向いている。

 

【平成10年】大衆社会について説明せよ。

 1.マッキーヴァーの社会集団の類型 

 

 社会集団-------組織集団-----------基礎集団

     |            |------機能集団

     |

      ------非組織集団(群衆・公衆・大衆)

 

 〔1〕

 社会集団は、複数行為者の間の相互関係に持続性が見られ、彼らの間に、ある程度共通の志向が共有されている集合体。

 

・組織集団:集団構成員に役割分担がなされていて、共同目標に向けて協働しあう集団 

・非組織集団:メンバーに役割分担がされていない、共同目標がない集団

 《群衆》

 メンバーが共通の関心を持っており、その関心を満たすために、一定の場所に集まった一時集団のこと。群衆が陥れやすい心理を、ル・ボン『群衆心理』にて、衝動的・激昂的・軽信的・妄動的・非暗示的な性質を持つ。

 

  《公衆》

 マスメディアがもたらす共通関心によって結ばれ、合理的・理性的な存在。ダルド『世論と群衆』、群衆を批判する公衆の存在を提示した。民主主義において、群衆はネガティブな存在で、公衆はポジティブな存在。

 

  《大衆》

 階級、社会的地位、職業、学歴などの社会的属性を超えた異質な不特定多数の人々から構成された集合体である。お互いは未知な関係で、間接的・非人格的関係からなる匿名的集団である。アメリカの社会学者ブルーマーは、大衆を、①構成員の異質性、②構成員の匿名性、③構成員相互の非交流性、④非組織性、の四つから定義づけている。 



〔2〕

 共同関心という観点から、コミュニティとアソシエーションに分類。コミュニティは基礎集団にあたり、アソシエーションは機能集団にあたる。コミュニティは一定の地域に居住し、生活の基本的なものを分かち合っている共同生活をしている集団で、コミュニティ感情(われわれ意識)が根底にある。

 アソシエーションは、成員の特定の共同関心を追求するために人為的につくられた集団で、コミュニティ内部にある一個の器官であることが強調される。

 

◇基礎集団=コミュニティ地縁や血縁を基礎とする社会的文化的諸条件によって形成された自然発生的な集団、家族・村落

◇機能集団=アソシエーション基礎集団から分化に伴って、特定機能を果たすために人為的に形成された集団、政党・国家

 

 2.テンニース

Gemeinschaft /Gesellschaft

ゲマインシャフト=共同社会構成員一人ひとりのために存在する組織である。最小単位でとらえれば血縁組織があり、それ以外では、町内会やスポーツや文化のサークル等がある。こうした組織では構成員の満足感を高めることが重要なテーマとなる。

 

ゲゼルシャフト=利益社会組織自体に目的があり、その目的を実現させるために人材やその他の資源を集め、役割分担や指揮命令系統の整備を行っていく。従って組織利益のためには構成員の犠牲が生じる場合もある。そして目的が消滅すれば必然的に組織としては解散することとなる。代表的なゲゼルシャフトは営利法人つまり通常の企業である。

 

【平成9年】社会に対する文化の機能について説明せよ。

 

  ブルデューは、人間の社会化(個人の相互作用によって集団や社会が形成される過程)において、一定の規則性の上に行動を方向付けるメカニズムが個々人の中に形成されていくことをハビトゥスという概念で説明した。

 

  ブルデューは、ハビトゥスとは、人間の社会化の中で獲得され、身についた物の味方、感じ方、ふるまいなど、持続的に生み出していく性向のことと定義した。

 

  ハビトゥスは、学習や芸術活動などにおいて大きな役割を果たしている。ハビトゥスは、個々人が持続可能な存在として成り立つことを可能にしていると同時に、階級や性別、民族などにはそれぞれに固有のハビトゥスがあり、ハビトゥスを植え付けることで構造的なパターンの再生産を可能とする。

 

  ハビトゥスは、家族から子供へと継承される趣味や洗練された立ち振る舞い、あるいは学校教育で獲得された知識や教養といった、いわゆる経済的資本とは別のレベルで、自己卓越を可能とする要素であり、ブルデューはこのような社会的地位の維持、上昇に寄与するハビトゥス文化資本と呼んだ。

 

  従来は、階級を規定するものとして、マルクスの生産手段の所有非所有といった経済資本が重視されていたが、ブルデュー文化資本という概念を導入し、文化資本が階級を再生産すると提起した。

 

  ブルデューは、フランスの教育システムにおいて、学校教育制度は文化資本を持つものを高い階層へと配列しつつも、持たない者を階層から追い出す階級再生産の送致になっているとした。

 

Ⅱ重要論点

 過去には出題されていないが、今後出題される可能性大の重要論点。

 

フリーライダー

 

  フリーライダーとは、公共財(集合罪)の供給に際して、コストを負担せずに、それを利用するだけの人を指す。公共財とは、国防・一般道路など排除原則が適応されず統合性が成立しない財であり、個人が共通に教授できたり、その教授の機械が開かれていたりする財である。そして、公共財には、非排除性という供給コストを負担しない人でもその利用を妨げられないという性質がある。このため個々の行為者には、フリーライダー(ただ乗り)になる誘惑が働くが、実際に多くの人がフリーライダーになると、公共財の供給自体が困難になってしまうという問題が発生する。これがフリーライダー問題である。オルソンによれば、個人は合理的に行動することを前提とする。個人によってあえて団体に帰属しなくても帰属したときと同様にその恩恵を受けられる場合には、団体に帰属しない選択(フリーライダーになること)が合理的であるとされる。例えば、労働組合運動に参加しなくても、運動の成果から便駅を受けられるが、多くの人がそのように考えてしまえば、運動自体が成立しない、あるいは効果的なものではなくなってしまうといった事例をあげることができる。オルソンは『集合行為論』で、このフリーライダー問題を社会運動論の解明すべき課題とした。  

 

 オルソンは、共通財を求める政治的利益集団の場合、目的自体は個人が集団に参加する要因とはならず、私的な選択的誘因(インセンティヴ)が必要となるため、集団利益が公共財の便益である場合では、フリーライダーは避けがたい、と指摘した。規模集団を形成・維持することは難しく、フリーライダー問題を防止するための方策として、①フリーライダーが監視できるくらい小規模の団体にする②団体への参加を強制する③団体への参加に対して公共財以外の財を誘因(選択的誘因)として提供することをあげた。特に、オルソンは、①はコミュニティレベルを超えて協力行動を考える時には現実的ではない、②は選択の自由を尊ぶ市民社会的な原理と矛盾するとして、③の選択的誘因の提供が有効であるとした。例えば、全米医師会(AMA)は、医療過誤訴訟に対する防衛体制を提供し、その会員に必要な医療ジャーナルを刊行し、単なる政治目的だけではない教育目的からの大会を開催することによって、その会員もしくは潜在的会員に対していくつかの選択的便益あるいは非集合的便益を供給しているという事例を上げた。つまりAMAは、非会員には提供しないこともある便益を会員に供給し、それによって組織に加入する誘因を与えるのであると論じた。

 

役割形成論

 

 →【平成26年】も参照。

 「役割」とは、ある地位に相応しいように期待され学習される行動様式である。役割は権利と義務の両面を含む概念である。つまり、役割は社会的規範によって規定された行動様式であり、サンクション(報償と罰則)をともなった役割規範に従うものである。また「役割葛藤」とは、ある地位にある者が、社会的に期待される様々な役割期待について、その諸期待間での調節が十分に果たせず、困難に直面している事態である。

 そして役割葛藤は以下の2つに大別できる。一つは、役割間葛藤であり、他方は役割内葛藤である。例えば、ある男性は既婚者で子どもがいる、その人があるある学校の教員だと仮定する。同じ日時に子どもの卒業式と勤務している学校の卒業式がバッティングした場合に、父親としては子供が通っている卒業式に出席するという役割期待に応えなければならないが、同時に職業人としては勤務している学校の卒業式に出席するという役割期待に応えなければいけない場合にどちらを優先するべきか悩むといった事例をあげることができる。このような別種の役割間のものは役割間葛藤と言われる。

 一方教員の役割は、その関連する相手との関係で、校長・生徒・父母・文部科学省教育委員会・マスコミなどと対応する、様々な役割部分から成り立っている。役割部分の集合は役割群と呼ばれる。例えば、文部科学省からは、ゆとりをもって個性を伸ばす教育の要請に応えることが期待され、他方父母からは入試合格を目指す教育を期待された場合の葛藤をあげることができる。このような役割群に含まれる諸期待間の調節が困難な場合は役割内葛藤と言われる。

  「役割」の形成に関する考え方は、大きく以下2つである。一つは、リントンからパーソンズにいたる「構造-機能主義」の見解であり、他方ミードからシンボリック相互作用論にいたる見解である。前者では、社会体系の中で個人締める位置が地位であり、その地位に期待される行動様式が役割である。この立場での役割形成とは、すでに社会体系内に制度化されているそれぞれの地位の役割期待や役割規範を個人が学習していく過程である。ただしこの見解では、役割は所与のものであり、それを従順に身に着けていくことが強調されるため、個人の主体性が軽んじられるとの批判もある。 他方、後者では、行為者の相互作用の中で主体的に役割が形成されると考える。例えば、ミードは社会的自我の形成を役割取得過程に求めた。役割の形成・取得とは後者の態度の内面化である。それは、プレイ段階・ゲーム段階・一般化された他者の3つの段階を経て系セされていく。一般化された他者では、役割形成・取得の対象となる他者の範囲が拡大し、複数の他者の役割を組織化して取得できるようになると論じた。

 

社会運動

 ・社会運動

 社会運動とは、社会変動の原因ないしは結果として生ずる社会的危機を解決する意図をもって動員される組織的行動もしくは集団行動である。通常、社会的危機は社会の構造的矛盾から生じるもので、危機の解決には既存の社会構造のどこを、どんな方法で変革するかが問題となり、それに応じて参加者の社会的背景や階級とも関連して、①革命②市民運動住民運動④大衆運動⑤労働運動といった多種の運動携帯が出現する。

 

①革命:広義には物事の状態が急激に変化することを指し、例として科学革命や情報革命。また、狭義には、それは社会体制の根本的変革としての社会改革を指し、例として市民革命やロシア革命

市民運動:特定の階級や階層に限定せず、市民の交通の利害や理念に基づく社会運動を指す。日本では、反戦平和・反核兵器・政治浄化・環境問題・差別撤廃などを主題とする各種の市民運動が展開されている。

住民運動:一定の地域の住民による生活環境の保全などを目的する社会運動である。例として。迷惑施設の建設に反する周辺住民の運動。

④大衆運動:孤立し、原子化され、画一化された諸個人からなる大衆が主体となる社会運動。それは既成秩序の動揺・大衆の不満などを背景に、特定の欲求と目標をもって組織され、比較的持続的な集合行動である。

⑤労働運動:労働性格上の諸問題に直面した労働者が、連帯することによってその諸問題を解決し、さらに自分たちの社会的地位を向上させ、権利を拡充しようとする運動である。

 

 ・新しい社会運動

 労働運動などの旧来の社会運動に対して1960年代以降の先進工業諸国における学生運動・女性解放運動・環境運動などを「新しい社会運動」と捉える見方があり、デュレーヌが提唱した。それは、国家への依存の増大を批判し、市民社会の自立性と自己決定性を基本的価値とする。「新しい」と指摘される特徴は、担い手が女性や成年、マイノリティーなど近代産業社会の周辺的存在であり、効率性と合理性のみを追究する産業社会に対する代替的価値を提示するところである。中央集権的なヒエラルキー型組織ではなく、平等な個人を横でつなぐ分権型のネットワーク型組織を目指すといった点である。

 新しい社会運動は体制変革や権力剥奪を目指すものでなく、民主主義の徹底化を市民社会の自立性の防御にその役割を規定づけるものである。


社会変動論

 1.社会変動論

 歴史を概観すると、社会は絶えざる変化にさらされていることがわかる。このような社会の変動を主題にした理論を「社会変動論」と呼ぶ。

 

2.マルクス

 マルクスの社会変動論は、社会発展段階説と呼ばれ、社会変動を下部構造である生産力と生産関係の統合体の変化によって捉えたものである。マルクスによれば、社会は、法律・制度などの上部構造と、生産的諸関係である下部構造によって形成される。

 下部構造の内部で生産力が変化すると、それに伴って生産様式も変化していく。この下部構造の変動が上部構造を決定していくのである。この生産様式の変動に伴う社会変動は、マルクスによって、原始共同体的社会→奴隷制度社会→封建的社会→資本主義社会→社会主義社会という図式に表された。

 

 3.デュルケム

 『社会変動論』において、機械的連帯から有機的連帯へという進化図式を提示した。機械的連帯とは、人々が同質的で諸個人が相互に類似している程普度に応じて、地縁や血縁によって結びついて成立している社会のことで、原始的社会が典型的な例である。そして、有機的連帯とは個性的な異質な諸個人が分業によって結びついている社会で、つまり近代社会がこれにあたる。

 機械的連帯から有機的連帯への移行は、分業の発達によるものである。これ以降、社会が有機的に結合されるには帰省が正常に働かなければならない。帰省が正常に働かなかった場合、社会はアノミー状態となる。

 

階級理論と階級闘争の制度化論

 1.階級階級

 特定の歴史的発展段階にある社会的体制または社会構成体の中で、生産手段に対する関係の違いによって、地位・資格・機能・所得源泉・所得額などの点で、相互に区別され、かつ相互に対立する人間の群衆であると定義される。

 

 2.マルクスの階級理論

 マルクスによれば、階級は、生産手段の所有・被所有に由来した搾取と被搾取、支配と被支配、富の配分における不平等、および権力。社交その他、生活の善側面における差別状態におかれた対立的な人間集団であると規定される。そしてマルクスは、資本主義の発達に伴って社会全体はお互いに対立する資本家階級と労働階級という二大階級に分裂し、資本家は富を増大させていくが、労働者は【貧困が進行し、このような二大階級の利害の対立はやがて階級闘争と革命を必然的なものとするとした。また、マルクスは、自らの階級位置を自覚し、階級対立についての自覚を持つに至った階級を対自的階級と呼び、階級構成員が即時的(意識をまだ持っていない階級)から対自的階級に転化した時、階級闘争が始めるとした。労働者階級こそが、即時的階級から対自的階級に不可逆的に成熟していく唯一のものとされる。

 

 3.ダーレンドルフの階級闘争の制度化論

 ダーレンドルフは、マルクス主義を批判するために階級闘争の制度化論を提唱した。階級闘争の制度化論とは、産業社会の成熟と共に、階級闘争に法律を含め一定のルールが構築されることにより、労働運動自体が体制の自動安定装置に転化し、体制内に編入されることで階級闘争の激しさが減少することをいう。

 

フロイトエリクソン

 ・フロイト

 フロイトは、心理学的観点から、人間の心的装置を①イド②自我③超自我にわけて分析し、その三要素が総合されたものをパーソナリティとした。ここでは、自我は、イドと超自我の調節機関として捉えられている。

①イド(エス)は、原始的、本能的エネルギーの源泉をなす部分である。性的欲動を中心としたリビドーの即時的充足を目指し、不快を避け、欲を求める「快感原則」に従う。

②自我は、本能的衝動であるイドと、社会的価値の内面化である超自我の葛藤を調節する機能を果たす部分である。

超自我は、幼少期に親から注入された社会的価値を内面化した者で、心的装置の中で道徳的機能を担う部分である。それはイドを監視し、禁圧する心的メカニズムである。

 

 ・エリクソン

 エリクソンによれば、アイデンティティとは自分が自分以外の何物でもないという唯一性・連続性・一貫性の実現と、所属集団からの自己の存在価値が承認されていることの実感がともに実現されている状態のことである。彼によれば、青年期はアイデンティティの確立を課題とする時期のことである。そしてそれがうまくいかなかったときは、アイデンティティの危機に陥ると言われている。

 また、エリクソンアイデンティティを確立するためには、人間が社会的な責任や義務を一時的に免除される状態をモラトリアムという概念で表し、青年期をモラトリアムという概念で特徴づけた。一般的に、高学歴の青年ほどモラトリアムの期間が長い。

 

マートンの機能論

 1.従来の機能主義への批判

 マートンは、従来の機能主義に対して、「機能」という言葉が暗に「プラスの機能」という意味を含んでいるという批判を行った。この批判から、マートンは「正機能-逆機能」、「顕在的機能-潜在的機能」という概念を作り、マイナス機能や見えない機能も組み込むことを主張した。

 

 2.正機能-逆機能

 マートンは従来の機能分析が「動機」という主観的範疇と「機能」という客観的範疇とを区別して居なかった点を批判し、それらを明確に区別してこそ現実的な分析が可能だとした。そして機能を「システムの調節ないし適応に貢献する客観的効果」と定義し、新たに逆機能の概念を提唱した。ここでは、正機能は、システムにとって肯定的に働く機能、逆機能はシステムにとって批判的に働く機能と定義される。

  マートンは官僚制の逆機能として、目的の転移を指摘した。フォーマルな規制、秩序のみによって構成される厳格な官僚制は、本来、組織目標を達成するための効率的な手段であるはずの規則の遵守が自己目的化して、組織をめぐる環境が返って阻害されてしまうことがあるとされる。この現象を目的の移転という。また、マートンは官僚制の問題点として、専門知識による訓練された無能力・専門閉塞・儀礼主義・派閥の形成・非人格性と冷淡さ・尊大や不遜・大衆の軽視などの問題を引き起こすとも指摘した。 3.顕在的機能-潜在的機能

 マートンは顕在的機能と潜在的機能を区別し、特に後者の重要性を指摘した。ここでは顕在的機能は意図した効果が導かれるような機能、潜在的機能は意図しない効果が導かれる機能のことと定義される。例えば、雨乞いは、ある手段で雨乞いの儀式を行って雨が振らなかった場合には、雨乞いの儀式は「雨を降らす」顕在的機能は果たせなかったが、この集団の成員には皆が意識していないところで、集団の結束が固まったという潜在的機能が働いたこととなる。 

 

社会学

 1.デュルケムの社会学

 社会学が一つの学問として確立するためには、独自の対象領域と固有の方法を持たなければいけない。

 

⑴社会実在論

 社会は個人の外部に実在し、個人に対して影響を与えるものであるとする考えである。 社会という全体は個人という部分の総和ではないとされる。

 

⑵方法的集団主義

 社会現象を個人の行為に還元するのではなく、「社会的な事実」として捉えること、例えば、法律、宗教、道徳観等を個人の行為に還元するのは無理があり、外在的なものとして捉える必要性がある。「社会的な事実」は単に外在的なだけではなく、個人を拘束する役割も担う。

 

2.ウェーバー社会学

 「理解社会学」とも言われる。 

 ウェーバー社会学に関する問題意識は近代化であり、近代化は、呪術からの解放であり、つまり、人々が合理的に行動できるようになることを意味する。

 

⑴社会唯名論:社会に実態はないという立場

⑵方法論的個人主義:個人を単位にして社会を論じる立場

 

逸脱行動論

 1.サザーランド『犯罪学原理』

 サザーランドは、『犯罪学原理』において、分化的接触論を提唱した。個人が犯罪や逸脱行動に走るかどうかは、それらに触れる頻度や期間、関り合い (強度・優先順位) の深さが強く関係する。犯罪が日常的に行われ、それが当然であるように思われている環境では、多くの個人がその状況を学習し、自らも犯罪に手を出すようになる。

 個人は、それぞれが属する集団と完全に切り離すことはできない。分化的接触理論は、犯罪行為や逸脱行動が、集団に属する個人に影響を与え、学習させてしまう、という考え方を基にした、環境犯罪学と社会学を融合させた理論である。

  ホワイトカラーによる犯罪を分析。"ホワイト カラー"と称される社会的に信望を有する高い地位にある者が、その職務の過程において、社会的に大きな害をもたらす逸脱行為を行っている事実を明らかにした。

 

 2.ベッカー『アウトサイダーズ』

 べッカーは、『アウトサイダーズ』において、ラベリング理論を提起した。逸脱行動は、個人の属性に起因するものではなく、社会集団がこれを犯したら逸脱者となるような規則を作り出し、特定の人にこれを適用して、彼らをアウトサイダーとしてラベリングすることで生じる。 

 

3.コーエン『非行少年』

 コーエンは『非行少年』で、「非行下位文化理論」を提起した。非行下位文化とは、非行集団に共有されている下位分化であり、これは下層階級の少年たちによって、アメリカ社会で支配的な中産階級的分化に対する反動的文化として形成されたものであり、非行は中産階級的文化への接触と同庁により生じる。

 

 4.レマート『人間の逸脱、社会問題と社会統制』

 レマートは逸脱行為を、第一次的逸脱、第二次的逸脱に分類した。

 第一次逸脱行為は、逸脱行動ではあるが社会的に未承認で本人も無自覚なもの、第二次逸脱行為は、逸脱行動が社会に承認されていて、それを行った者へ逸脱行動の程度に応じて処分がなされるが、それを覚悟した上で行われる確信犯的なもの。

 

 5.ハーシー『非行の原因』

 なぜ、私たちの多くは犯罪行為をしないのだろうか?という、これまでとは全く逆転の発想から犯罪に向き合ったのが、ハーシーの「社会的紐帯理論(ソーシャルボンド理論)。この理論では、人が犯罪をしないのは社会とのしっかりとした絆があるからであり、その絆が弱まったときや、壊れたときに逸脱した行動が起きると考える。

 この社会的絆について、ハーシーは、愛着(attachment)・投資(commitment)・巻き込み(involvement)・信念(belief)という4つの絆を提案している。

 



以上